キャリアの棚卸しのやり方。経験を残す習慣【30代からの転職】

キャリアの棚卸しのやり方を調べて、シートを開いたのに手が止まる。何年も働いてきたのだから書けると思ったのに、業務名の先が出てこない。転職を考えたとき、そんな戸惑いを感じる方もいると思います。自分の経験が乏しいと決める前に、まずは仕事の記憶を集めるところから始めてみませんか。
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連載「30代からの転職」は、仕事も家庭も大切にしたい方へ、withwork代表の上原が綴るコラムです。今回は公式ポッドキャスト「キャラトラ」第418回の対話をもとに、転職を決める前からできるキャリアの棚卸しについて考えます。
仕事内容は覚えていても、考えたことは忘れてしまう
今回の番組で少しほっとしたのは、職務経歴書づくりを支援する側のメンバーも、自分の書類になると簡単には書けない、と話していたことです。すぐできそうに思っていたのに、いざ取りかかると時間がかかる。人のことは整理できても、自分のことは難しいんですよね。
仕事の名前は思い出せます。営業をしていた。採用を担当していた。けれど、その時期に何が課題だったのか、なぜその進め方を選んだのかまでは、意外と思い出せない。
番組では、同じ採用業務でも、向き合う組織の課題が変われば、考えることや取り組み方は変わるという話が出てきます。営業でも企画でも、担当業務が変わらなかったからといって、ずっと同じ仕事を繰り返していたとは限りません。
できるようになったことは、日常になっていきます。苦労して変えた手順も、今では当たり前になっている。次の課題に追われていると、その前の工夫は忘れてしまう。
だから私は、振り返っても何も出てこないときに、いきなり「自分の強みは何か」と問い詰めなくてもよいと思っています。強みを決める前に、実際に起きたことを思い出す。その順番のほうが、取りかかりやすいのではないでしょうか。
白い紙より、すでに書いたものから始める
番組で紹介されていたのは、日報や週報、評価面談のために書いた振り返りを見直す方法です。そのとき何に向き合っていたかを、過去の自分が少し残してくれています。
書類へそのまま写すためではありません。「この時期は、ここに困っていたんだった」と思い出す手がかりとして使います。会社の資料を無断で持ち出したり、顧客情報を個人のメモに写したりする必要はありません。閲覧・利用してよい範囲で確認し、自分の役割を説明できる形に整理します。
最初は、最近終わった仕事を一つ選んでみる。番組の考え方をもとに、こんな問いなら書き出しやすいと思います。
- その仕事を始める前、何に困っていたか。
- 自分は何を担当し、どの部分を工夫したか。
- 実際に何が変わったか。確かめられる記録は残っているか。
- 次も同じ仕事をするとしたら、続けたいこと、変えたいことは何か。
きれいな文章でなくても構いません。成果の数字を思い出せないなら、曖昧な値で埋めず、「確認する」と残しておく。自分の仕事とチーム全体の成果も、後で混ざらないように分けておきます。
番組ではAIを整理の補助に使う話もありますが、会社の文書をそのまま外部のAIへ入れるのは避けてください。勤務先のルールと利用を認められた環境を確認することが先です。使える場合も、出てきた文章が事実に合っているかは自分で確かめる。AIが補った出来事を、自分の経験にはしないでおきたいですね。
もう一つ、私からお勧めしたいのは、上司との評価面談を使うことです。「私の強みは、どこにあると思いますか」「この半年の仕事で、どのあたりがよかったですか」と聞いてみる。自分で評価を書いて提出するだけでなく、相手が何を見ていたのかも教えてもらうんです。
「調整がうまかった」と言われたら、どの仕事の、どの場面だったのかまで尋ねてみると、後から振り返りやすくなります。自分では何気なくやっていたことが、周りにとっては助かっていた、と分かることもあると思います。もちろん、一人の評価が自分のすべてではありません。自分で思い出した仕事に、別の視点を足すつもりで聞いてみてください。
全部を一度に思い出そうとするより、一つの仕事を少し詳しく残す。そこから始めるほうが、忙しい毎日の中でも続けやすいと思います。
完成してから相談しよう、と待たなくていい
番組では、職務経歴書の骨格だけでも、相談を始める材料になるという話がありました。どんな役割を担ってきたのかが分かれば、そのとき何を大切にしていたのか、どんな判断をしたのかを、一緒に聞き取っていけます。
私たちも、職務経歴書の作成をお願いした後、なかなか仕上がらない方にお会いします。時間が取れないこともあるでしょうし、何を書けばよいのか分からず止まっていることもある。そこで「まだできていないので相談できません」となってしまうのは、もったいないと思うんです。
職務経歴書は、ひとりで作ろうとすると難しいものです。自分の経験が企業からどう見えるかも、自分だけでは分かりにくい。だから、作るところから手を借りて構いません。「書き方を教えてほしい」でも、「棚卸しをしたいので、まず話を聞いてほしい」でもいい。
withworkに登録して、これまでの仕事を相談するときも、完成した書類は必要ありません。途中のメモがあればそこから、まだ書けていなければ、何に困っているかを聞かせてください。どんなサポートができるかも含めて、一緒に進め方を考えます。
年に一度でも、プロジェクトが終わったときでも、自分が振り返りやすいタイミングでよいと思います。更新できなかった時期があっても、最初からやり直す必要はありません。思い出せる最近の仕事を、まず一つ足す。
そのメモを読むと、「次もこういう仕事をしたい」と感じるかもしれません。反対に、成果は出せたけれど、この働き方を続けるのは難しい、と気づくこともある。何ができるかだけでなく、これからの仕事と生活をどうしたいかを考える材料にもなります。
転職するかどうかは、その先で決めてよいことです。必要になってから何年分も思い出そうとする前に、今、確かに自分がやっている仕事を残しておく。その小さな準備を勧めたいと思います。
業務の一覧は書けたけれど、強みや次にやりたいことまでは分からない。そんな段階で構いません。これまでの経験を、これからの仕事につなげるために、一緒に振り返っていきましょう。
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