管理職の職務経歴書。役職の先にある実績を【30代からの転職】

管理職の職務経歴書では、役職の先にある実績をどう伝えるかが大切です。役職や部下の人数を書けば、経験が伝わるようにも思えます。でも、その肩書きの中で自分が何をしてきたかは、会社の外からは意外と見えないものです。
withwork公式ポッドキャスト「キャラトラ」の内容をもとに、代表の上原が考えを交えて綴るコラムです。今回は『「立派な肩書き」は役立たず?転職活動での活かし方』の回から考えます。
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同じ部長でも、任されていた仕事は違う
番組では、採用する企業が知りたいのは、その会社での活躍が自社でも生かせそうか、という話が出てきます。使える予算も、人も、仕事の進め方も変わるからです。
どこまで意思決定できたのか。採用や育成にどう関わったのか。管理だけでなく、実務をどこまで担ったのか。同じ役職でも、答えは大きく違います。
だから、役職に説明を任せすぎないことが大事だと思います。どんな状態の組織を任され、何を課題と捉え、何を変えようとしたのか。その中で、自分が判断したことや、周囲を巻き込んだことを書く。チームの成果と、自分の役割を分けて説明できると、仕事の輪郭が見えやすくなります。
何もかも一人でやったという話にする必要はありません。人や仕組みを通じて成果を出してきたことも、大切な経験です。その働きかけの中身を知ってもらいたいですね。
管理職の経験には、数字に表れる成果もあれば、組織の中で積み重ねてきた働きかけもあります。メンバーの評価をした、人員の配置を考えた、他部署と合意をつくった。そうした仕事を「部長として管理していた」の一言にまとめると、実際に何ができる人なのかが見えにくくなります。
まず、任されたときの状態を振り返ってみてください。事業を伸ばすために採用が必要だったのか、仕事の量に対して人が足りなかったのか、メンバーの役割が曖昧だったのか。その状況から何を課題と捉え、何を先に変えようとしたのか。組織を説明するだけでなく、自分の判断を説明したいです。
例えば、メンバーの成果にばらつきがあったとします。そこで、個人の頑張りだけの問題と考えたのか、担当顧客や仕事の分け方に原因があると考えたのか。それによって取り組みは違います。面談を増やした、仕事の分担を変えた、情報共有の仕組みを整えた。その背景が分かると、施策を並べるだけでは伝わらなかった経験が見えてきます。
自分が決めたことと、会社の方針として決まっていたことも区別しておきたいですね。採用人数を決める権限はなかったけれど、必要な役割を整理して経営に提案した。予算の最終判断は別の方だったけれど、事業上の理由を説明して合意を得た。決定権がない場面で仕事を進める力も、経験として伝えられます。
また、大きな組織で成果を出した方が、少人数の組織でも同じ役割を担うとは限りません。専門部署に任せていた仕事を自分で行う必要があるかもしれませんし、制度を使うだけでなく、最初からつくる場面もあるかもしれない。応募先の体制を聞きながら、経験がそのまま生きる部分と、新しく学ぶ部分を見ておきたいです。
部下の人数は、仕事の規模を伝える情報として役に立ちます。でも、人数が多ければ必ず高度な経験で、少なければ簡単だったということではありません。どんな人たちと、どんな難しさに向き合ったのか。その中で、自分がどう関わったのかを知りたいです。
職務経歴書を読んだ人が、「この人がいると、うちのチームはどんなふうに変わりそうか」と想像できるか。そのつもりで書いてみると、肩書きの説明から、仕事の説明へ少し近づけると思います。全部を一度に書き切らず、応募先が必要としている経験を選んで詳しくすることも大切です。
管理職の経験を説明するとき、メンバーの成果を自分の成果として奪う必要はありません。本人が力を発揮できるように、何を整えたかを伝える。任せる範囲を変えた、相談する機会をつくった、他部署との障害を取り除いた。その働きかけが分かると、自分が直接実務をしていない成果でも、管理職としての貢献を説明できます。
逆に、部門の数字がよくなったから、すべて自分の施策の効果だと結びつけるのは慎重にしたいです。市場や他部署の影響もある中で、どこまで自分の働きかけを説明できるか。確認できる範囲で話す方が、経験への信頼にもつながると思います。
肩書きを守るかより、次に何を担うか
私は、次の会社でも同じ役職でなければキャリアダウンだ、と決めなくてもよいと思っています。新しい事業や仕事を知るために、まず実務を担いながら関係をつくる選択もあります。
子育てとの両立を考える方も、管理職を続けるか辞めるかの二択にする前に、実際に何を任されるのかを見てほしいと思います。決裁が深夜まで続くのか、メンバーが自律的に動けるのか、課題を一人で抱える構造になっていないか。役職名だけではわからないことがあります。
次の役割を考えるときには、自分が管理職の仕事の何を好きだったかも振り返ってほしいです。人が育つことにやりがいを感じるのか、組織全体の判断に関わりたいのか、自分で難しい案件を進める方が好きなのか。同じ管理職でも、望んでいる仕事は違うと思います。
今の会社で管理職がつらいから、もう管理職はやりたくない。その気持ちがある場合も、何が負担になっていたのかを具体的にしてみる。責任だけが増えて意思決定できないのか、メンバーの仕事まで一人で引き受けているのか、深夜の対応が当たり前なのか。それは、別の組織でも必ず起きることなのでしょうか。
反対に、今の肩書きを失うのが不安で、次も同じ役職にこだわりたくなる場合もあります。その気持ちも自然だと思います。ただ、同じ名称でも任される仕事は違いますし、肩書きが変わっても、事業に関われる範囲が広がることはあります。何を残したいのかが見えると、役職名以外の条件も比べられるようになります。
転職時には、まずプレイヤーとして事業やチームを理解する進め方もあります。そこからどのような役割を担いたいかを話しておくことはできますが、将来の昇進を曖昧な約束として受け取らないようにしたいです。現時点で任される仕事と、今後の可能性を分けて理解する。そのうえで、その経験を積みたいかを考えてみてください。
子育てとの両立についても、管理職という名前だけで諦めなくていいと思います。チームで判断を分担できるのか、会議はどの時間帯にあるのか、不在時に誰が判断できるのか。人が増えても、すべての確認が一人に集まる組織なら、柔軟な制度があっても働き続けるのは難しいかもしれません。
面接では、「管理職の方は何時まで働いていますか」だけでなく、「この役割にはどのような意思決定が任されますか」「チームでは、責任や業務をどのように分けていますか」と聞いてみる。自分がその仕事を引き受けたとき、どんな一週間になるのかを想像するための会話です。
管理職を続けることも、一度別の役割を選ぶことも、どちらかが正解とは限りません。自分が持っている経験を、どの環境で生かしたいのか。家庭との生活を含め、その仕事を続けたいと思えるのか。過去の肩書きを守るだけではなく、これから担いたい役割を選んでほしいと思います。
これまでの経験に自信を持ちながら、次の会社で必要とされる役割を確かめる。自分がまた力を発揮したいと思える仕事は何か。その話ができる職務経歴書にしていきましょう。
役職の中で、どんな仕事をしてきたのか。次に何を担いたいのか。一緒に整理します。
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