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転職を決めたのに退職の引き止め。どう向き合う?【30代からの転職】

転職を決めたあと、退職の引き止めにどう向き合えばよいのでしょうか。すると、『今辞められると困る』『条件を変えるから残ってほしい』と言われた。転職を決めるまでにも悩んだのに、最後にもう一度、気持ちが揺れる。そんなこともあると思います。

お世話になった人がいるから、申し訳なく感じる。その気持ちは否定しなくていいと思います。ただ、その気持ちと、これからどこで働くかの判断は、同じものではありません。

withwork公式ポッドキャスト「キャラトラ」の内容をもとに、代表の上原が考えを交えて綴るコラムです。今回は『最も心が折れる転職活動は…退職交渉?』の回から考えます。

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感謝は伝えたい。でも、これからの選択も大切にしたい

番組では、退職するという意思と、退職日や引き継ぎの相談を分けて話すことが勧められています。すでに意思が固まっているのに、『辞めた方がいいでしょうか』という相談の形で伝えると、相手も判断がまだ決まっていないと受け取るかもしれません。

お世話になったことへの感謝を伝える。そのうえで、次に進むと決めたことも伝える。どちらかを消す必要はありません。今の会社を悪く言わなければ、転職する理由がなくなるわけでもないと思います。

条件を変えるから残ってほしいと言われたときには、転職を考え始めた理由を振り返ってみてください。給与が上がれば解決することだったのか。やりたい仕事や、家庭と続けられる働き方、組織の価値観など、ほかにも変えたかったことはなかったか。

提示された変更が、その悩みを本当に解消するのか。いつから、どんな形で実現するのか。残ることを選ぶなら、気持ちだけでなく、具体的な内容を確認したいですよね。引き止められたから必ず残るべきでも、必ず転職すべきでもありません。最初に大切にしたかったことから、もう一度考えたいです。

引き止められると、自分が必要とされていたことをうれしく感じる場合もあると思います。今までそんなふうに言ってもらえなかったのに、辞めると伝えたら評価してもらえた。その言葉で気持ちが変わることも、自然なことです。ただ、その評価と、転職したい理由が解消するかは分けて考えたいですね。

例えば、給与の変更を提案されたとしても、毎日の働き方が難しかったのであれば、その問題は残るかもしれません。役職を上げると言われても、今まで以上に仕事が一人に集まるなら、家庭と続けられる状態から遠ざかることもあります。何が変わるかだけでなく、何が変わらないかも見てほしいです。

反対に、具体的な役割や働き方の変更によって、残る方が自分の希望に合うと考えることもあると思います。その場合も、誰がその変更を決められるのか、いつから実施されるのかを確認したい。申し出てくれた方の善意だけで続く条件なのか、会社として合意されるものなのか。その違いは大きいですよね。

考え直すなら、一人でその場の返事を決めなくてよいと思います。提示された内容を整理し、家族や担当者に話してみる。内定先に返答している場合は、その約束や必要な連絡も確認する。気持ちが変わることはありますが、関わっている相手への説明まで曖昧にしてしまわないようにしたいです。

意思が変わらないなら、伝える言葉を毎回増やして説得しようとしなくてもいい。「これまでお世話になったことには感謝しています。そのうえで、次の環境へ進むことを決めました」と、判断が固まっていることを伝える。理由を詳しく話すかどうかは、状況や関係性に合わせて考えてよいと思います。

自分の希望を通すために、実際とは違う家庭事情や病気を理由にする必要はありません。説明が難しいことはありますが、後から事実と合わなくなる話をつくるより、伝えられる範囲で意思を明確にする。会社を悪く言うことと、嘘の理由を用意することの間にも、話し方はあると思います。

引き継ぎに向き合うことと、一人で耐えることは違う

番組では、担当業務や引き継ぎの計画を整理しておくこと、いつ誰に何を伝えたかを記録しておくことも話されています。実務をどう引き継ぐかが見えると、話し合いもしやすくなると思います。

もちろん、相手の反応をすべて自分でコントロールすることはできません。誠実に伝えても、話が進まないことはあります。そんなときまで、『自分の伝え方が悪いからだ』と引き受けすぎないでほしいです。

入社日の調整が必要になりそうなら、早めにエージェントや転職先に相談したいです。退職できる時期や必要な手続きは、雇用契約の形や事情によって確認が必要です。トラブルが続く場合は、エージェントの助言だけで抱えず、労働相談窓口や法律の専門家に相談することも考えてください。

家族との時間や、次に挑戦したい仕事のことを考えて決めた転職なのに、最後の話し合いで気持ちがすり減ってしまう。そういうときこそ、なぜこの選択をしたのかを、安心して話せる相手と振り返ってほしいと思います。

引き継ぎの準備は、自分が担当している仕事を見える形にするところから始められます。進行中の案件、次に必要な判断、関連する資料、連絡する相手。何がどの段階なのかを整理すると、上司も誰に引き継ぐかを考えやすくなります。最初から後任の方がすべて決まっていなくても、材料を用意することはできます。

一方で、後任を採用することや、会社全体の人員不足を解消することまで、自分一人の責任として引き受けなくてよいと思います。誠実に協力できることと、いつまでも辞められない条件を受け入れることは違います。その線が分からなくなったら、第三者に状況を話してみてください。

話し合いが長引くときには、日付、伝えた内容、相手の返答を記録しておく。記録は相手と争うためだけのものではなく、何を確認し、何がまだ決まっていないかを自分でも理解するために役立ちます。会社の機密や他の人の情報を不用意に持ち出さず、相談に必要な範囲で整理したいです。

入社日の変更が必要かもしれないと感じたら、転職先への相談も早めにしたいですね。確定してからでないと話せないと思っていると、直前に調整が難しくなることがあります。まだ決まっていないことはそのように伝え、いつまでに何を確認するのかを共有する。約束できない日程を、確定したように伝えないことも大切です。

退職の条件や、法的にどのように進められるかは、雇用契約や事情によって確認が必要です。ネットで見た一般的な日数だけで、自分にもそのまま当てはまると判断しないでください。話が進まない、強い言葉で圧力を受けるなどの状況があれば、公的な労働相談窓口や法律の専門家に確認する方法もあります。

気持ちの負担が大きいときは、交渉をうまくすることだけを目標にしないでほしいです。誰に何を相談できるかを考え、家族にも今の状況を共有する。体調に影響が出ているなら、必要な受診なども含めて自分を守ることを優先してください。最後まで一人で耐えることが、誠実さだとは思いません。

退職の話し合いで揺れたときには、転職を決める前に考えていたことを読み返してみるとよいと思います。次にやりたい仕事、家族との時間、これからどう働きたいか。その理由は、引き止めの言葉で消えたのでしょうか。残る場合も進む場合も、自分が大切にしたかったことを基準に、改めて判断してほしいです。

お世話になった会社への感謝は、次に進んでも持ち続けられます。引き継ぎに向き合いながら、自分が選んだこれからのキャリアも大切にしていきましょう。


転職の意思決定から、入社までの不安もお聞かせください。法的な問題は専門家への相談と分けて支援します。

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この記事のライター

上原 達也(うえはら たつや)

XTalent株式会社 代表取締役

XTalent株式会社 代表取締役。大学卒業後、株式会社SpeeeにてWebマーケティング・人事などを経て社長室に所属、新規事業や海外法人の設立に従事。その後JapanTaxi株式会社に入社し、事業開発を担当。2019年7月に「フェアな労働市場をつくる」をミッションにXTalent株式会社を設立、代表取締役に就任。「キャリアとライフをトレードオフにしない」という想いからwithworkを立ち上げる。共働きで、2児の育児中(料理担当)。