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転職を決める前に

ワークライフバランスを求めて転職する前に。あなたはどんな毎日を送りたい?

「ワークライフバランスを大切にできる会社に転職したい」。そう思ったとき、最初に考えてみてほしいことがあります。あなたにとって、バランスが取れているのは、どんな状態でしょうか。残業が減ることなのか。お迎えに行けることなのか。それとも、家に帰ってから仕事の心配をせずに過ごせることなのか。

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こんにちは。XTalent代表の上原です。以前noteに、ワークライフバランスという言葉をめぐるすれ違いについて書きました。今回はもう少し手前の、自分が望んでいる暮らしをどう見つけるか、という話をしたいと思います。

「残業が少ない」だけでは、希望が伝わらない

母親だけの話ではありません。父親が自分でお迎えや夕食の支度を担いたいと思うことも、仕事の役割を見直すきっかけになります。家族との時間を増やしたい気持ちを、性別で特別扱いする必要はないですよね。

同じように残業を減らしたいと言っていても、困っていることは違います。

夕方の予定が毎日変わり、お迎えの分担を決められないことなのか。夜に仕事をする日が続いて、寝る時間が足りないことなのか。土日に予定を入れても、急な仕事で取りやめになることなのか。あるいは、家にはいるのに、頭の中がずっと仕事でいっぱいなことなのか。

これは特定の相談者の話ではなく、自分の希望を整理するための例です。どれも「ワークライフバランス」という言葉に入りますが、解決するために必要な条件は同じではありません。

毎日の終業時刻を安定させたい人もいれば、忙しい日はあっても、自分で予定を調整できればいい人もいる。平均残業時間だけを比べても、そうした違いは見えにくいと思います。

求人の条件を読む前に、今の一週間を思い出してみてください。いちばんしんどかったのは、いつだったか。逆に、この日は気持ちよく過ごせたと思う日はあったか。その差に、次の会社に求めたいことが含まれているはずです。

仕事の中で満たしたいものも、一緒に書いてみる

家庭に使う時間を増やしたい。それは、仕事に求めるものがなくなったという意味ではありません。

これまで積み上げてきた経験を、次の職場でも活かしたい。自分の判断で進められる仕事がしたい。誰かの役に立っているという手応えがほしい。働き方の悩みが大きいと、そういう希望を後回しにしてしまいがちです。

でも、時間の条件だけを満たすために転職して、仕事への気持ちが置いていかれたら、別のつらさが生まれるかもしれません。

私たちが、withworkを通じて転職・入社した方を対象に行った「転職後のキャリアとライフに関する意識調査」でも、仕事の面白さ、人間関係、達成感などを尋ねています。その回答では、転職前と比べて「働きがい」の総合点が上がっていました。働き方を変えた先で、仕事にも手応えを感じている方がいる。そのことは、選択肢を考えるときに知っておいてほしいと思います。

転職前後の働きがい総合点を比較した自社調査の原図。回答者の振り返りによる評価は転職前15.0点、転職後19.6点。

出典:XTalent株式会社「転職後のキャリアとライフに関する意識調査・中編」。5項目を各5段階で評価した合計の比較です。原図のまま掲載。タップすると拡大できます。

これは2024年5月21日〜6月5日に実施し、同年3月までにwithwork経由で転職・入社した男女120名から回答を得た調査です。転職前後を本人が振り返って評価したもので、転職すれば誰もが同じように変わるという意味ではありません。

キャラトラで出社回帰について話した回でも、今の仕事への思いや、一緒に働く人との相性を、出社頻度とあわせて考えることが話題になりました。環境を変えるきっかけは働き方でも、転職で実現したいことは、それだけではないんですよね。

少しだけ、次の文章の続きを書いてみてください。

平日に、どうしても守りたいのは__。仕事では、これからも__を担いたい。その両方を続けるために、今の__を変えたい。

うまく書く必要はありません。たとえば、守りたい時間は具体的に言えるけれど、仕事でやりたいことはまだわからない。それがわかるだけでも、相談する入口になります。

そして、その答えは何年も変えてはいけないものではありません。子どもが小さい今と、数年後とでは、大事にしたいことも変わる。今回の転職で人生の最終形を決めなければ、と思いすぎなくていいと思います。

企業には、仕事で実現したいことも伝える

自分の希望が見えてきたら、転職活動では、その伝え方にも少し気を配りたいと思います。

残念ながら、「ワークライフバランスを取りたい」という言葉を聞いて、仕事はほどほどにしたい人なのだと受け取る方もいます。私は、その見方には違和感があります。でも、言葉の受け取り方が違う相手に、自分の意図をそのままわかってもらえるとは限らないんですよね。

仕事では、どんな役割を担いたいのか。一方で、家庭ではどんな時間や分担を大事にしたいのか。今の会社では、なぜその両方を続けることが難しいのか。その順番で話すと、環境を見直したい理由が伝わりやすくなると思います。たとえば、面接ならこんな説明です。

これまでの経験を活かし、次の職場でもチームの業務改善を担いたいと考えています。一方で、家庭では週に何日か、夕方のお迎えを担当しています。現職ではその時間帯の会議や急な対応が重なり、両立が難しくなっています。周囲と予定を調整しながら、改善の仕事を継続して進められる環境で力を発揮したいと思い、転職を考えています。

これは伝え方の一例です。家庭の事情を隠すためでも、仕事への熱意を大げさに見せるためでもありません。「何を避けたいか」だけでなく、「ここで何をしたいか」まで話す。自分に必要な働き方と、会社に求められる役割を、同じ場で確かめるためです。

求人を見るときにも、整理した希望を手元に置いておきます。

フレックスがあるなら、自分がお迎えに出たい時間に会議はないか。リモートワークができるなら、配属先でも実際に使われているか。裁量のある仕事なら、任される範囲と、困ったときに相談できる相手は誰か。

「条件がいい会社か」ではなく、「自分が望む一週間を、この仕事で過ごせそうか」。そんなふうに読み替えてみると、確かめたいことが具体的になります。

また、比較する相手はほかの求人だけではありません。今の会社で仕事の分担を変えたらどうなるか。異動や働く時間の調整で、希望に近づける部分はないか。外の会社を知ったことで、現職のよさが見えてくることもあると思います。

転職するか、しないかを決める前に、自分の中で何が満たされていて、何が足りないのかを知る。その整理を飛ばさないことが、納得して次の職場を選ぶために大事なのではないでしょうか。


「ワークライフバランスを変えたいけれど、何を希望すればいいのかわからない」。withworkへの相談は、そんな言葉からでも構いません。家庭のことだけでなく、これからの仕事に期待していることも、一緒に言葉にしていきましょう。

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まだ自分で考える時間がほしい方は、公式ポッドキャスト「キャラトラ」やInstagramものぞいてみてください。ほかの方の問いが、自分の希望に気づくきっかけになるかもしれません。

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この記事のライター

上原 達也(うえはら たつや)

XTalent株式会社 代表取締役

XTalent株式会社 代表取締役。大学卒業後、株式会社SpeeeにてWebマーケティング・人事などを経て社長室に所属、新規事業や海外法人の設立に従事。その後JapanTaxi株式会社に入社し、事業開発を担当。2019年7月に「フェアな労働市場をつくる」をミッションにXTalent株式会社を設立、代表取締役に就任。「キャリアとライフをトレードオフにしない」という想いからwithworkを立ち上げる。共働きで、2児の育児中(料理担当)。