転職を決める前に
時短勤務なのに残業が続く。仕事量を見直すための上司への伝え方

時短勤務なのに残業が続く。お迎えに向かう途中も、終わらなかった仕事のことを考えている。時間を短くして働いているはずなのに、気持ちも予定も仕事から離れられない。そんなとき、最初に確かめたいのは、自分の手際よりも、今の勤務時間に仕事の量が合っているかです。
こんにちは。withworkを運営するXTalent代表の上原です。キャリアも暮らしも大切にしながら働くために、今の職場で相談できることと、次の環境を選ぶときに確かめたいことを考えます。
短くなったのは時間だけ、になっていませんか
勤務時間を短縮したとき、担当顧客、締め切り、会議の数はどう変わったでしょうか。以前の仕事をそのまま持ち、限られた時間に押し込めているなら、毎日の工夫だけでは解消しない部分があります。慣れた仕事だからこそ、周囲も「これまでと同じように頼める」と考えているかもしれません。
ただ、仕事量を単純に時間の割合で減らせば済むとも限りません。顧客との打ち合わせや定例会議は、勤務時間が短くなっても同じ長さで残りがちです。自分で使える時間がどれだけあるのかを見ないと、実行できない計画ができてしまいます。
例えば、実働6時間のうち会議に2時間を使う日なら、資料作成や顧客対応に使えるのは残り4時間です。これは説明のための例ですが、「6時間働ける」と「6時間分の作業を引き受けられる」は違います。急な依頼や確認の待ち時間が重なる日は、さらに余白がなくなります。
残業の原因も一つではありません。毎日の担当業務が多すぎる場合と、夕方にしか決裁が進まない場合では、相談したいことが変わります。まずは直近の一週間について、予定した仕事と後から入った仕事、実際に仕事を終えた時刻を並べてみてください。精密な作業日報を新たに作るより、予定表と手元のメモから分かる範囲で十分です。
夜に持ち帰った作業も、見直しの対象に入れたいところです。職場を定時に出られていても、毎晩資料を仕上げていれば、仕事が時間内に収まったことにはなりません。実際に働いた時間は勤務先のルールに沿って正確に記録し、仕事を終えたことにするための未申告作業はしないでください。
「早く帰る分、迷惑をかけないように全部終わらせたい」。そう考えるほど、仕事の配分の問題が周囲に見えなくなることもあります。自分の限界を示すことは、責任を放り出すことではありません。仕事を継続して担うための情報を、チームに渡すことでもあります。
上司には、終わらない仕事と選んでほしいことを渡す
相談の場では、「忙しいので減らしてください」だけでなく、今の時間でできる範囲と、判断が必要な仕事を一緒に示すと話が進めやすくなります。次の表は、面談に持っていくための整理例です。実際の業務名に置き換えて使ってください。
| 今起きていること | 決めたいこと |
|---|---|
| 定例会議が重なり、担当資料を作る時間がない | 参加が必要な会議と、記録の確認で足りる会議を分ける |
| 終業直前の依頼を当日中に求められる | 当日対応の条件、翌日へ回す基準、引継ぎ先を決める |
| 休む人の仕事が追加され、元の締め切りも変わらない | 担当を増やすときに、どの仕事を減らすか決める |
| 上司の確認待ちで作業が夕方にずれ込む | 確認の時刻、代理で判断できる人、提出方法を見直す |
「今週はAとBの納期が重なっています。勤務時間内でAを終えるため、Bの期限か担当を相談したいです」。例えば、こう伝えられます。依頼を受けた本人だけで、すべての仕事の優先順位を決める必要はありません。チームとして何を優先するかは、上司にも判断してもらうことです。
相談の結果、業務を他の人へ渡すなら、引継ぎに使う時間も確保したいですね。仕事を減らす相談が、膨大な手順書を一人で作る宿題になってしまうと、負担が増えます。最初は一つの業務だけを一緒に行い、困った点を記録するなど、移し方も含めて考えます。
減らせる仕事が思いつかないときは、「やめる」「頻度を下げる」「完成度を変える」「担当を替える」の順に、上司と見直してみてください。毎週作っている資料は、本当に毎週必要なのか。会議前に整える見栄えは、判断に必要なものなのか。本人の努力で速くする案ばかりでなく、仕事の置き方を変える案も出せます。
優先順位は、依頼が来るたびに変わることもあります。その場合は、最初に決めた一覧を守ろうと一人で抱えず、「これを今日入れるなら、何を明日に送りますか」と確認します。上司以外から直接依頼が来るなら、窓口や共有先を決めることも有効です。部署をまたいだ依頼の全体を、本人だけが把握している状態を減らします。
試す前と後では、残業時間に加え、期限を守れた仕事と持ち越した仕事を比べます。時間だけ減り、未完了の仕事が積み上がっていれば解決とは言えません。仕事を引き取った同僚にも無理がないか確認し、次にどこを変えるかを決めるところまでが、分担の見直しです。
その場で合意できたことは、担当・期限・次に確認する日まで短く残します。「配慮する」と言ってもらえたことと、翌週の予定が変わったことは別です。残業が減ったかだけでなく、同僚への負担が偏っていないか、顧客対応に抜けがないかも一緒に振り返れると、続けられる運用に近づきます。
制度面では、短時間勤務と残業免除を同じものと考えないことも必要です。厚生労働省は、小学校就学前の子を養育する労働者が請求できる所定外労働の制限について、対象者・除外要件・申請期限等を案内しています。時短を使っていることだけで、自動的にすべての残業が免除されると判断せず、勤務先の制度と手続きを確認してください。厚生労働省「所定外労働の制限」
個別の残業命令や賃金の扱いに疑問がある場合は、人事や労働局などへ相談する領域です。仕事量の改善を求める話と、法令上の権利を確かめる話は、必要に応じて並行して進めて構いません。
時短をやめる前に、変えたい仕事の条件を言葉にする
仕事が終わらないと、「いっそフルタイムに戻れば」と考えることもあると思います。働く時間を増やしたい気持ちがあり、生活も成り立つなら一つの選択肢です。ただ、仕事が増え続ける仕組みがそのままなら、勤務時間を延ばしても、さらに仕事を引き受けるだけになる可能性があります。
逆に、今の会社で時短を続けることが、自分のキャリアを諦めることだとも限りません。重要な案件を絞って担当する、夕方の一次対応をチームで分ける、改善業務へ役割を変える。時間の長さと、仕事の価値をどう結びつけるかは、働く場所によっても変わります。
転職先を探すときは、「時短勤務ができるか」に加えて、仕事を割り当てる仕組みを聞いてみてください。担当業務が増えたとき、何を減らすのか。終業後の顧客対応は誰が担うのか。目標は勤務時間と担当範囲を踏まえて、いつ見直すのか。制度の利用者がいるかだけでは分からない部分です。
聞き方は、家庭の事情の説明だけにしなくても大丈夫です。「この領域の経験を生かして、こういう成果を出したい。一方、終業時刻には制約があるので、夕方以降の対応体制を確認したい」と、担いたい仕事と必要な条件を合わせて話せます。両立の条件を伏せたまま期待に応える約束をするより、入社前にすり合わせるほうが、お互いの判断材料になります。
現職に相談しても何も変わらず、日々の生活が成り立たないなら、外の選択肢を知ることを後回しにしなくてもよいと思います。退職を先に決める必要はありません。今の仕事で続けたいことと、もう続けられない運用を分けるところから、次の働き方を考えられます。
今の仕事で続けたいことと、暮らしのために変えたい条件が整理しきれないときは、withworkでもご相談いただけます。転職を決める前の段階から、一緒に選択肢を考えます。
まだ転職を決めていない方は、公式ポッドキャスト「キャラトラ」やInstagram(@withwork_official)もご覧ください。
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