2024.5.28

子どもが登園拒否!具体的な原因の見つけ方と対処法は?【現役保育士さんに聞く】

#教えてノラ先生
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今回のテーマは、保育園の通う子どもの「登園拒否」。
就業開始の時間が迫るワーキングペアレンツにとって、思わず心の中で「勘弁してくれ〜」と叫びたくなるようなお悩みですよね…。
スタートアップ企業にバックオフィスとして従事しつつ、保育士としても活動するノラ先生に、おすすめの対処法を聞いてみました!

 

子どもが保育園に行きたがらないことがあります。無理に行かせるのはかわいそうだなと思いつつも、私も仕事があるので…。余裕がないと、つい口調がきつくなっちゃいます。

 
 

まずは本人の話を聞いて、できる工夫をしてみましょう!

 

一対一で本人の話を聞いてみる

まずはお子さんの気持ちを聞いてみます。お子さんが話している間は、ひたすら共感しましょう。
出かける前の忙しい時間に、突発的に登園拒否の言動があった場合、3分だけでもいいので、手を止めてお子さんの話を聞いてあげてください。
お友達と遊べるよ、給食に好物が出るよ等、ポジティブな声かけはせずに、ひたすら気持ちを受け止めます。
「行きたくないんだね、そうかそうか」と、オウム返しでも良いので、声に出すと、お子さんも聞いてもらっているという安心感があるかもしれません。

聞き手のポイントとしては「1対1で、小さめの声で、ゆっくりと」です。
例えば会社の上長から、最近のあなたの話を聞かせてほしいと言われたとき、聞き手が「2人以上、大きな声で、早口」だったら、圧力を感じてしまいますよね。
スマホを置いて、お子さん一人に集中する時間をつくってみましょう。兄弟姉妹がいる場合、保護者を一人占めする時間は、とても嬉しかったりします。
もしも、暴力や嫌がらせを受けているという話であれば、園に相談をしましょう。場合によっては、転園を考える必要があるかもしれません。
他に考えられるケースとして、園内での体験が登園拒否につながっていることもあります。

ある登園拒否のエピソードを紹介します。

Aちゃんは、外遊びが嫌なので、園に行きたくないということでした。
でもAちゃんは、外遊びのときに砂場で作ったお団子を、いつも嬉しそうに見せてくれます。
根気よく話を聞いてみると、外遊びすべてが嫌なのではなく、鬼ごっこが嫌だとわかりました。
Aちゃんは、走ることがあまり得意ではありません。鬼ごっこをすると、いつも鬼になってしまうのが悲しくて悔しかったというのです。
[鬼ごっこをやりたくない<外遊びをやりたくない<園に行きたくない]という心理状態になっていたようです。

また、Bくんは体操とリトミックが嫌だと言うのですが、いつもノリノリで皆にお手本見せる程でした。
保護者がBくんにじっくりと話を聞いてみると、体操とリトミック自体ではなく、準備運動や整列といった、突然押し付けられるルールが苦手に感じるようだったようです。

このように、話を丁寧に聞いてみると、本当の理由がみえてくることがあります。

ひたすら共感、「行かない」という選択肢はなし

登園しない理由が暴力等ではなかった場合、共感しながらも、行かないという選択肢は出さず「行くためにはどうするか」を一緒に考えます。
お子さんに「園に行くためには、どうしたら良いと思う?」と質問してみるのも良いと思います。

例えば、お着替えをしたくないから、園に行きたくないというお子さんの場合、思い切ってパジャマのまま登園してみるのもアリだと思います。
園で保育士に伝えておけば、事情を把握して対処してくれるはずです。

他にも、早めにお迎えに行くことを約束する(「15時にお迎えに行くからね」と具体的な時間を伝える)、登園前に1時間公園で遊ぶことを条件にする、「自転車で行く?歩いて行く?」と選択肢を提示してお子さんが決めた方法で登園する、といった方法も有効だという声がありました。

外に出ることも難しいお子さんの場合、外に出るプロセスで発生する様々な動作を、あえてお願いしてみるのも良いでしょう。
玄関の鍵を閉める係、エレベータのボタンを押す係、自転車の鍵を開ける係。
ちゃんとできたら、毎回感謝の言葉をかけてあげてください。
玄関ドアに交通系ICカードのタッチ部分を模した絵を貼り、そこにおもちゃのカードをタッチすることでドアが開くルールにして、外に出るきっかけを作るという工夫も有名ですね。
最終目的は園に行くことですが、まずはタスクを細かく分けて、少しずつ達成感を得て、お子さん自身の「もっとやってみたい」気持ちを引き出してあげましょう。

保育者自身のケアも忘れずに

毎日忙しくてそんなのんびりしたことできない…と思った方もいるかもしれません。
保護者も人間ですから、しびれを切らして怒ってしまうこともあるでしょう。
そんなときは思い切って、保護者の気持ちを優先する機会を作ってみましょう。

例えば、夕飯のメニューは何が良い?とお子さんに聞くのではなく、保護者の好きなメニューを一緒に食べよう!でも良いと思うのです。
冷蔵庫に自分だけのご褒美を用意しておいて、こっそり楽しむのも良いですね。
悩んだときは一人で抱え込まず、園の先生にもぜひ頼ってください。

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ライター / ノラ先生

2016年に待機児童問題を知り、「自分にもなにかできることはないのか」という思いから一念発起。独学で勉強をして、34歳で保育士資格を取得。2018年から、保育士として勤務。あるときは、スタートアップ企業のバックオフィス、またあるときは保育士として活動中。

この記事のライター
ノラ先生

2016年に待機児童問題を知り、「自分にもなにかできることはないのか」という思いから一念発起。独学で勉強をして、34歳で保育士資格を取得。2018年から、保育士として勤務。あるときは、スタートアップ企業のバックオフィス、またあるときは保育士として活動中。