2024.7.11

働き盛りの男女が更年期障害で離職?不調の原因や症状、キャリアを諦めないためにできること

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#転職
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40~50代は、管理職やリーダーなど責任ある立場で活躍されている方も多い年代です。
一方で、いわゆる「更年期」の時期と重なり、更年期障害の症状により仕事のパフォーマンスが低下し悩む方も少なくありません。
中にはやむを得ず、休職や離職の道を選ぶ方もいます。

そして、女性特有と思われがちな更年期ですが、男性にも更年期があることが分かっており、近年では「男性更年期」という言葉もメディアで見かけることが増えてきました。

本記事では性別問わず、40~50歳の方が経験する更年期にみられる症状や対処法、企業の経営やマネジメントに関わる方々が知っておきたいことを紹介します。

更年期障害とは

個人差はありますが、日本人女性の平均的な閉経(=月経が完全に停止した状態)年齢は、50歳と言われています。
「更年期」とは、この閉経年齢を挟んだ前後10年間(=45~55歳頃)を指します。
更年期にはさまざまな身体の不調が出てきますが、その中でも仕事や日常生活に影響するほどひどい状態を「更年期障害」といいます。

更年期は男性にもある

これまで更年期障害は女性特有のものと考えられてきましたが、近年では男性にも起こりうることがわかってきました。
男性の更年期障害は、
加齢やストレスに伴う男性ホルモン(テストステロン)の減少によって生じます。

一方で、女性と比べ、男性の更年期障害の認知度はまだ低い状況にあります。
気分の落ち込みや身体の不調が更年期障害によるものだと気がつかず、長年苦しむ方もいらっしゃいます。

更年期により、離職・休職の道を選ぶ人も…

更年期障害により、「これまでのようなパフォーマンスが出せない」「仕事に集中できない」と悩む方は少なくありません。
「更年期=50代」というイメージが強いこともあり、40歳半ばに発現したことで「まさか更年期だったとは」と治療が遅くなってしまったケースもあり、それぞれ更年期へのリテラシーを高めることが必須といえます。
また、40~50代は、責任があるポジションについている人も多く、プライベートでも介護に直面しやすい時期です。
さまざまなプレッシャーが重なって、悪化してしまうことも…。

2021年にNHKと専門機関が行った調査によると、更年期症状を経験した人のうち、症状が原因で仕事を辞めた人は男女ともに1割近くにのぼるといいます。
この中には、病院にかかり更年期と診断されたことを職場に訴えても理解を得られず、働けなくなって離職を選んだ方も一定数いらっしゃるそう。
一方で、女性の場合、更年期は一時的なものです。
症状は閉経後徐々に治まっていくので、医療機関に通い、周囲の理解を得られることで解決するケースも多いのではないでしょうか。
また、終わりがはっきりとわからない男性の更年期障害も、医療機関での治療により症状を緩和・抑制することも可能です。
症状の程度には、個人差がありますが、「少しおかしいな?」と感じたら、医療機関へ受診することをおすすめします。

更年期に現れる不調の原因

更年期にあらわれるさまざまな身体の不調は、性ホルモンの低下やバランスの乱れが最大の原因です。
女性では女性ホルモンのエストロゲン、男性では男性ホルモンのテストステロンが大きく関わっています。

女性は閉経後、エストロゲンが急激に減少することもあり、ホルモンのバランスが崩れから症状が顕著に出やすい傾向があります。
期間としては閉経前後の約10年間に起こり、閉経後、約5年くらいかけて徐々に症状は治まっていきます。

男性の場合、テストステロンは一般的に中年以降、加齢とともにゆっくりと減っていきます。
減少の速さや度合いは個人差があり、40歳以降はいつ症状が出てもおかしくありません。
また、女性のように閉経前後10年間などの目安もなく、終わりがないことも特徴です。
男性更年期は、加齢性腺機能低下症、またはLOH症候群とも呼ばれています。

更年期障害にみられる症状

症状の程度には個人差がありますが、更年期障害の発現としてよく上がる症状は次のとおり。性別ごとに紹介します。

女性の更年期障害

女性の更年期障害症状は多岐にわたります。
エストロゲンの急激な低下により、ホットフラッシュや発汗が早期に現れた後、倦怠感、イライラなどの精神症状が現れます。エストロゲンの働きかけを失った臓器の変化として泌尿生殖器の萎縮、骨量減少、動脈硬化が進行していくので、更年期に向けてヘルスケアを意識していくことはとても大切なことです。

<身体面の症状>
ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)、寝汗・発汗、肩こり、頭痛

<精神面の症状>
不眠、不安感、イライラ、不眠、気分の落ち込み

<泌尿器・生殖器系の症状>
尿失禁、月経異常

男性の更年期障害

男性ホルモンは、肉体や性機能だけに働くのではなく、認知機能や血管の健康にも関係しているため、更年期症状としては、以下のような症状があげられます。

<身体面の症状>
関節痛・筋肉痛、疲れやすい、動機・息切れ、手足のしびれ

<精神面の症状>
気難しくなる、気分がしずむ、怒りやすい、不安感、記憶力・集中力の低下

<泌尿器・生殖器系の症状>
頻尿、性欲の低下、ED

男性ホルモンは、ストレスや睡眠不足などの影響を受けて減少するため、生活習慣の改善で症状回復につながることもあります。

更年期はいつ終わる?

女性の場合、閉経の5年前くらいから症状が出始め、閉経後5年くらいかけて徐々に症状は落ち着いていきます。
ただ、閉経以降、エストロゲン欠乏状態がつづくことによって生活習慣病のリスクが高まります。
できれば更年期症状が出る前から、栄養に気を付けたり適度な運動をして、生活習慣病予防を心がけましょう。

男性の場合は、終わりがないといわれています。
男性ホルモンは多くの病気から身体を守ってくれる健康寿命のために大事なホルモンなので、日頃からストレスをためない生活を心がけましょう。
治療法としても、生活改善指導、各症状への対処が基本のようです。症状が重い場合は、テストステロン製剤の注射も受けられる病院があるので、受診することをおすすめします。

更年期で仕事を諦めないためには?

更年期でキャリアを諦めないために、何ができるでしょうか?
まずは、個人でできる対策を考えてみましょう。

不調を感じたら病院へ行く

「更年期かもしれない」と感じながら、受診しない人も多いです。
更年期は「病気じゃない」と考えている方もいるかもしれませんが、治療が必要な場合も大いにありますので、少しでも異変を感じたら病院で検査してもらいましょう。

しっかりと休息をとる

日頃のストレスから、症状が悪化するケースもあります。ストレスをためない過ごし方、自分の心を保つ方法を見つけましょう。
無理しすぎないことが重要です。

周りの人の助けを借りる

ひとりで解決しようとせず、周囲に頼ることもひとつの方法です。
信頼している人に打ち明け、助けを求めることも大切。
何をするにも身体が資本です。
自分の身体を一番に考えて、動いてみましょう。

リモートワークを活用したり、仕事を調整する

通勤電車がツライ場合も多いでしょう。
リモートワークを活用したり、業務内容の相談をしてみましょう。

柔軟な働き方が可能な企業へ転職する

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企業ができることは?

個々人がいくら意識していても、企業側の理解を得られないことで「離職・早期退職」などを選択する人もいます。

令和6年2月に経済産業省が行った「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」の調査によると、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失額は年間3.4兆円に上るという結果が出ています。
この中で最も損失額が大きいのは女性の更年期症状に起因するもの。
更年期症状のために発生する欠勤、パフォーマンス低下、離職の損失額、離職に伴う追加採用活動の費用は年間で合計1.9兆円と推計されます。

これらの損失を防ぐためにも、企業側が意識したいことを考えてみましょう。

更年期障害に対するリテラシーの向上

女性はもちろん、男性の更年期障害に関する知識を入れることは、今や必須といえます。
経営者が更年期について理解し、職場環境を適切に整備することで、従業員エンゲージメントがあがり、離職率が下がるなど、改善が期待されるテーマでもあります。
特に女性の更年期障害は症状が顕著に出やすいので、一時的にサポートが必要になるシーンが出てくることを前提にした人材配置が望ましいでしょう。
更年期を迎える40~50代は管理職も多いはずです。
以前は女性の早期退職も多かったため、問題が浮上してこなかったかもしれませんが、今、この課題に直面している企業は多いのではないでしょうか。
まずは「更年期」について、知識を得ることから始めましょう。
厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」を利用するなど、信頼できる情報を集めて、施策に役立ててください。

「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」更年期障害とは?

「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」更年期障害チェック

働きやすい環境づくり

従業員のパフォーマンスの低下を防ぐ企業の取り組みも重要です。
よくある事例としては、以下が挙げられます。

<リモートワークやフレックスタイムの導入>
身体に負担のかからない通勤方法を選択できる仕組みを構築する。

<休憩室の設置やデスクの自由度をあげる>
職場で体調が悪くなったときに、休める部屋を用意する。
デスクに扇風機を設置できるようにする。

<従業員教育>
上層部だけでなく、組織全体で理解し合えるように、全従業員でリテラシーを高める。

更年期休暇の導入の検討

更年期の働き方をサポートしている企業はまだまだ多くありません。
今後、少子高齢化がさらに進むことや女性の社会進出により、より課題が浮き彫りになってくることが予想されます。
人材の確保が難しくなるなか、“働きやすい企業”であることは必須条件といえるのではないでしょうか。
男女ともに更年期休暇などの特別休暇を利用できるようにする福利厚生を整えることも、離職を防ぐひとつの方法です。

相談窓口をつくる

誰に相談したらよいかわからない、という声もよく聞きます。
“更年期”は距離の近い同僚や部下には言いづらく、相談できずに悩んでいる人も多いでしょう。
専門家に相談できる窓口をつくることも、社員のストレス緩和に役立ちます。
社外の専門医とのオンライン診療、カウンセリングサービスを提供するなどの施策をしている企業もあるので、一人で抱えることがないよう、ケアしていくことが必要です。

まとめ

更年期障害を女性特有の症状だと思っている方は多いかもしれませんが、男性にも当てはまる症状です。
症状にも個人差があるので、甘く見ないで受診しましょう。女性は婦人科、男性は泌尿器科が主な受診先です。
(※更年期に対応していない泌尿器科もあるので、問い合わせしてご確認ください)

企業はまずは上層部がリテラシーを高め、苦しんでいる人に寄り添うことが第一歩ではないでしょうか。
それぞれの人が心身の調子、そしてキャリアと向き合いながら、生き生きとした社会へ。
気づいた方から一歩ずつ、進んでいきましょう。

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監修 / 大野 綾

株式会社サイバーエージェントに入社後、子会社の立ち上げ、広告代理店営業、営業マネージャーを経験。夫の転勤で中国北京へ帯同し、現地日系企業で就業。帰国後、株式会社サイバー・バズにて、インフルサーマーケティングディレクターや販売管理責任者に従事。第二育休復帰後に、子会社社長としてデジタルマーケティングに特化した人材紹介事業およびコーチング事業を展開。これまでの経験を生かしより社会課題に向き合うべく、withworkへ参画。

ライター / 川瀬 美智子

フリーランス編集&ライター。新卒で一般企業の経理職に就くが、何か合わない…と転職して雑誌編集者に。出版業界で約14年間働き、2023年独立。経験社数4社ということもあり、転職は大賛成派。ジェンダーギャップに敏感で、まずは家庭内男女平等を目指して奮闘中。趣味は旅行でフットワーク軽めの1児の母。

この記事の監修者
大野 綾

株式会社サイバーエージェントに入社後、子会社の立ち上げ、広告代理店営業、営業マネージャーを経験。夫の転勤で中国北京へ帯同し、現地日系企業で就業。帰国後、株式会社サイバー・バズにて、インフルサーマーケティングディレクターや販売管理責任者に従事。第二育休復帰後に、子会社社長としてデジタルマーケティングに特化した人材紹介事業およびコーチング事業を展開。これまでの経験を生かしより社会課題に向き合うべく、withworkへ参画。

この記事のライター
川瀬 美智子

フリーランス編集&ライター。新卒で一般企業の経理職に就くが、何か合わない…と転職して雑誌編集者に。出版業界で約14年間働き、2023年独立。経験社数4社ということもあり、転職は大賛成派。ジェンダーギャップに敏感で、まずは家庭内男女平等を目指して奮闘中。趣味は旅行でフットワーク軽めの1児の母。