グロービス社は、社員の成長を重視し、フレキシブルな働き方を支援しています。週3日の出社方針やハイブリッドワーク、充実した学習支援制度など、社員一人ひとりの自己実現を支える取り組みについて、株式会社グロービス 経営管理本部 採用チーム マネジャーの坂本美紀さんに詳しくお話を伺いました。
自由と自己責任を重んじるグロービス社のワークスタイル
吉田:まずは、現在のグロービス社の働き方について、出社の頻度や就業時間など、教えていただけますか。
坂本:基本的な就業時間は部署にもよりますが、概ね9時30分から18時の時間帯で働いている方が多いと思います。制度的なところでは、 コアタイムなしでフレックスが使えますので、業務によっては朝の出勤時間帯をフレキシブルに調整できたり、週3日以上の出社をしながらリモートワークも柔軟に使い仕事をすることが可能です。子育て中のメンバーも多いので、例えば、子どもを幼稚園に送り出してから出社しますといった方もいらしたり、社内共有のカレンダーで家族ケアの時間をブロックされている方もいらっしゃいますね。
吉田:週3回出社を推奨されながらもコアタイムなしフレックス制度や柔軟にリモートワークを活用することで、プライベートと仕事を両立されているんですね。ワーキングペアレンツとしては、残業時間も気になるところですが、全社平均はどれぐらいなんでしょうか?
坂本:全社の平均残業時間は13〜16時間ぐらいでしょうか。各自が業務やご家庭の状況に応じて自律的に調整いただいています。
吉田:働く時間や成果は自分で管理しながら、 お子様の都合などでスケジュールをブロックしていたり、抜けた分の補填はちゃんと自分で調整されるというのが、全社的にスタンダードというか、根付いていらっしゃるんですね。ちなみに出社日は、部門ごとに決められてるんでしょうか?
坂本:出社日も基本的には個人の自由です。一方で、週2日出社ですと、人によっては1週間のうち1度もオフィスで会わない可能性が出てきますが、週3日出社であれば1日は必ず顔を合わせる形になります。「水曜日は定例ミーティングがあるので出社しましょう」といったように、チームで曜日を合わせて顔を合わせる機会を意図的に作られているチームもありますが、働き方はかなり柔軟性が高いと思いますね。
組織として「HRポリシー」を定めていまして、性善説に則った「自由と自己責任」を原則としています。一人ひとりが自由意思に基づき主体的に動くことで可能性を切り拓くことが可能になり、各自のリーダーシップの発揮によってグロービスの可能性も更に拡がると考えています。一方で、自由にはプロとしての責任が伴います。私たちの組織管理のベースには「Management by Value」という考え方がありまして、指示・命令や規則・ルールによるマネジメントではなく、大事にしたい価値観によるマネジメントを追求しています。互いを信じ、徹底的なエンパワーを通じて一人ひとりの自己裁量と可能性の幅を広げ、「個の爆発」を促す組織運営を行っています。
吉田:御社の定めたワークスタイルの中で、一人ひとりのメンバーが自由と自己責任を全うしていらっしゃる様子が目に浮かびます。自分の裁量で調整できるのはワーキングペアレンツにとって、とてもありがたい環境ですね。
坂本:弊社では、産休や育休から復職される方、それを複数回経験されている方も多いです。復職率が高いので、各部門にワーキングペアレンツが多数いらっしゃるという状況があり、子育てしていても無理なく長期的に働けるよう相互にサポートしあう姿勢が組織に根付いているように思います。
吉田:産育休からの復職率が高いのは、安心して戻ってこれる環境を築かれているということですね。男性の育休取得者も増えているのでしょうか?
坂本:パートナーの産休にあわせて育休を計画的に取得される社員も増えています。組織として「自分>家族>仕事」という優先度が浸透しており、経営陣を含め立場によらず、それぞれが家庭を大事にするカルチャーがあると思います。
学びの文化を根付かせるグロービスの取り組み
吉田:御社がハイブリッドワークを実施される中で、コミュニケーションの取り方などで工夫されていることはありますか?
坂本:出社している方々は、なるべく対面で話す時間をしっかり取って、それによる創発性や関係性構築などをとても大事にしています。ハイブリッドワークになって、一層リアルの場を設ける機会も増えていますね。従来から組織文化の醸成や全社的なコミュニケーションの場として、ランチギャザリングやオールスタッフ・リトリートという1泊2日の全社イベントがありますが、リアルの場を重視する理由を改めて認識するべく、「ワークスタイル・ウェイ」を全社でディスカッションしたりもしました。
吉田:全社イベントは、とても楽しそうですし、メンバー間のコミュニケーションも深くなりそうですね。オフィスの機能でこだわっているところや、メンバーの方から好評な場所はありますか?
坂本:これを話すと結構驚かれるのですが、実は麹町オフィスはもともと内階段がないビルなのですが、わざわざフロアに穴をあける工事をして内階段を造り各フロアを繋げています。組織文化をとても大事にしているとお伝えしたのですが、 フロアごとに部門が分かれていても、気軽に話せるように空間を繋げているんです。
吉田:物理的にも心理的にも壁をなくしているんですね。
坂本:もう1つは各フロアに多目的スペースとしてカフェコーナーを用意していまして、会議利用だけでなくリラックスして会話ができるような空間になっています。大型のスピーカーもありまして、時折DJブースをおいて音楽イベントを行ったり、クラブ活動で利用するなどもしています。
▲5階から7階を繋ぐ内階段。エレベーターを使わず他のフロアに行けるので心理的障壁も低い。
▲ 開放的なカフェスペース。多くのメンバーが利用している。
▲ カフェスペースに設置された大型スピーカー。DJイベント等も開催される。
▲ 社会人向けの教育ビジネスなどを展開している事業特性からか、硬いイメージを持たれがちな同社だが、取材日は立食できるカフェスペースで部門の懇親会として和菓子パーティーが開催されていて、とても賑やか。スーツを着ている人は1人もいない。
▲ 静かな図書館と蔵書の数々に本好きなら興奮すること間違いなし。
▲ ライブラリースペースの中にあるデスクもとても集中できそう。
▲ 各階の本棚にも数々の書籍がズラリ。社員の成長や学びを支える環境が整っている。
坂本:実はライブラリーのスペースが社内にありまして、最新の潮流をキャッチアップしたり静かに仕事をしたりといったことが、会社の中でできるようになっています。
吉田:ライブラリースペースやオフィス各所に並ぶ本棚は、自己研鑽を大切にされているグロービスさんならではの施設ですね。設備以外にも、制度や福利厚生でメンバーの方に好評いただいてるものはありますか?
坂本:勤続5年目、10年目の節目で付与されるサバティカル休暇という制度もあります。長期的に就業しているとアウトプットが続きますので、時にはまとまったお休みを取って、インプットの時間を取りましょうということで設けています。職掌にもよりますが、1週間から4週間とまとまったお休みを取得することが可能です。皆さん海外に語学留学に行かれたり、論文執筆に充てる方など多様です。取得された後はどのような時間だったか、waigayaという全社員が登録しているメーリングリストに学びをシェアいただくため、他者の学びを通して新たな学びに興味を持つこともあります。
学習支援の充実は、グロービスらしいところでもあるかなと思います。例えば、大学院の受講支援制度や、各自の学びに対し年間最大20万円まで支援する自己啓発支援制度もあります。社員の多くが様々な学びに利用しており、語学学習やコーチングの受講に利用している方も多いです。私自身も、コーチングやキャリアコンサルティングの資格取得などに継続的に利用してきています。弊社が展開する定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」は入社時にIDが付与されますので、通勤時間の学習などに利用されている方も多いと思います。
グロービスで働くこと自体が社員の成長や可能性の拡がりにつながるように制度を整えてきています。各自のチャレンジへの支援の厚さはグロービスらしいところですね。
吉田:学びの制度って、会社さんによっては手厚いけれども、「誰も使ってないよね」みたいに形骸化してしまうケースってよくあるかなと思うのですが、それを「使うのが当たり前だよね」という空気感はどのように醸成しているのでしょうか?
坂本:大前提として、 人や組織の成長を支援するビジネスをしているなかで、他者だけでなく自己の成長にも関心が高い方が多いです。MBA取得に対しても前向きな方が集まっているからこそ、自己実現に向けて学びが習慣になっている方が多く、学びの文化が育まれているのだと思います。加えて、評価制度として、MBO(目標管理)を行っていますが、評価項目のひとつに「自己啓発」の項目があります。仕事だけでなく自己成長も併せて考えていくことが構造的に用意されていますので、日頃から主体的に学びを考え、積極的に学習支援制度を使う方が多いのだと思います。
*グロービスの評価制度はこちら:https://recruiting.globis.co.jp/environment/human-resources/
時代に適応し続ける「グロービス・ウェイ」
吉田:冒頭に優先度が「自分>家族>仕事」であるというお話があったと思いますが、多くの企業はまだまだ事業の成長ありきで、その中での個人の幸福が一部認められるレベルにとどまっていると思います。今回インタビューさせていただき、個人の自己実現や成長への投資っていうことも含めて、御社は個人をすごく大事にされているなと感じました。その文化は、どこから生まれてきたのか、そして、家族の在り方や男女の役割分担の変化が時代と共にある中で、グロービスさんはどう変化してきたのかを聞いてみたいです。
坂本:そういう意味では、おそらく組織自体のベースとなる価値観は大きく変わっていないと思います。創業当初に掲げた「グロービス・ウェイ」を今も踏襲しながら、必要に応じ追加変更してきています。
価値観となる土台の部分は一定不変である一方で、打ち手となる部分は環境変化に応じてスピード感をもって変えてきたのだと思います。
吉田:根本で大事にされている価値観が明確だからこそ、そういった経営が可能なんですね。
坂本:フレキシビリティもありつつ、しっかりと組織文化も醸成できているという意味では、現状で良いバランスが取れているのかなと思います。組織として良い文化を築きながら、生産性の高い状態を維持するためにも、引き続きグロービスの価値観に共感をいただける方にジョインいただきたいと思っています。
吉田:グロービスさんの組織作りに対する、真摯な想いが伝わってきました。最後にグロービスへ入社をご検討されている方へ、一言メッセージをお願いいたします。
坂本:グロービスは硬いイメージを持たれがちですが、実は、とてもフラット、かつ、カジュアルな組織です。それこそ、代表の堀もよくフロアを回っては気軽に会話をしていますし、フリーアドレス制で部門長もフロアーに普通に座っていますので、気軽に声を掛け合える関係性があります。「自由と自己責任」をベースに主体的にチャレンジしていきたい方にはとても良い環境だと思います。そのようなチャレンジを通して、人や組織・社会の成長に貢献したいという熱い想いがある方に注目いただけると嬉しいなと思っております。
吉田:ワーキングペアレンツであっても、自己成長や企業の成長に前のめりにチャレンジできる環境ということがすごく伝わってきました。本日は貴重なお話ありがとうございました。
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■本日のインタビュイー
坂本 美紀さん
株式会社グロービス 経営管理本部 採用チーム マネジャー
思考ファカルティグループ
法人営業部門にて法人営業、スクール法人事務局リーダーを経て、現在は経営管理本部で採用マネジャーを務める。並行して思考領域の研究開発チームに所属し、論理思考や問題解決、コミュニケーション、ファシリテーションなど思考系科目で幅広く企業研修講師や教材開発に携わる。
■本日のインタビュアー
吉田 智恵
新卒で株式会社ユニクロに入社。店舗の経営者として全国各地の店舗課題解決や人材育成に携わり、複数地域で累計300名以上の幅広い年齢層の社員のマネジメントやキャリア相談にのってきました。産後、キャリアとライフをトレードオフせざるを得ない働き方に悩んだ自身の原体験から、この社会問題を解決したいと思いwithworkに飛び込む。書類添削から面接対策まで細やかなサポートを得意とする。2児の育児中。