2025.5.9

女性管理職の育成:課題克服と多様性の受容

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多様性と包括性がビジネスの成功に不可欠な要素となる現代において、女性管理職の育成は企業戦略の重要な柱です。女性リーダーの現状を把握し、彼女たちが直面する独特な課題に対処することは、企業の成長とイノベーションを促進する上で重要な役割を果たします。

この記事では、女性管理職の現状と、企業がジェンダー平等を推進し、多様な才能を育成するために取り組むべき戦略について詳しく掘り下げていきます。

なぜ企業は多様性確保・ジェンダーギャップ解消に取り組むのか

リーダーシップにおけるジェンダー多様性は、企業の競争力とイノベーションを高めるために不可欠です。研究によると、ジェンダー多様性の高い経営陣は、より良い決定を下し、企業の業績向上に寄与しています。しかし、多くの企業において女性管理職は依然として少数派であり、この格差を埋めることは経済的にも社会的にも重要です。

達成されていない「女性管理職比率目標」

日本政府は2003年に「202030(2020年までに社会のあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合が30%になる)」を数値目標として掲げましたが、未達に終わり、依然として達成は遠い状況です。

強まる「多様性確保」への要請

投資家・政府・社会など様々なステークホルダーからの人的資本の開示の流れを受け、企業における多様性確保への注目が高まっています。

  • 「コーポレートガバナンス・コード」改訂(2021年6月)
    企業統治における主要な指針の1つとして「企業の中核人材における多様性の確保」を盛り込む

  • 「女性活躍推進法」改正(2022年4月)
    行動計画の策定義務を課される対象が常時雇用する労働者が「101人以上」の事業主に拡大

  • 「女性版骨太の方針2023」閣議決定(2023年6月)
    東証プライム市場へ上場する企業に対し、女性役員比率を30年までに30%以上とする目標を盛り込む

企業が多様性確保・ジェンダーギャップ解消に取り組む意義

企業は社会的要請だけでなく、企業としての持続的成長、優秀な人材確保のために多様性確保・ジェンダーギャップに取り組む必要があります。

内閣府男女共同参画局「女性活躍・男女共同参画の現状と課題」からは下記のようなポイントが指摘されています。

  • 多様性確保・ジェンダーギャップ解消の状況が投資判断で重視されている
    投資判断に女性活躍情報を活用する機関投資家等は約3分の2で、活用の割合が最も高い女性活躍情報は「女性役員比率」

  • 多様性の確保はイノベーションを生み、企業のパフォーマンス向上につながる傾向がある
    女性役員比率が高い企業の方が、女性役員がいない企業よりもROE (自己資本利益率)、EBITマージンが高くなっている。取締役会における女性割合が高い企業ほど株価パフォーマンスは高い。

  • 男女ともに多様性のある企業を選ぶ傾向が強い

女性管理職の現状:課題と現実

女性管理職の現状は、多くの企業において改善の余地が大きく残されています。特に、女性が管理職としてのキャリアを築く際に直面する課題は多岐にわたります。例えば、ワークライフバランスの維持、職場での性別に基づく偏見、プロフェッショナルな成長の機会の不足などが挙げられます。さらに、リーダーシップポジションへの昇進においても、女性はさまざまな障壁に直面しがちです。

帝国データバンクの「女性登用に対する企業の意識調査(2023年)」によると、2023年の有効回答企業全体の平均で、女性管理職の割合は9.8%、大企業だけに絞ると更に割合は低下します。

無意識の偏見を乗り越える

無意識の偏見は、女性が管理職として成功する上で大きな障害となり得ます。企業は、職場における性別に基づく偏見を認識し、これに対処するためのトレーニングや教育プログラムを実施することが重要です。例えば、意識的または無意識的な性別に基づく差別を減らすためのワークショップやセミナーが効果的です。

企業側/当事者側のどちらにもアンコンシャス・バイアスがあります。女性管理職登用の文脈でよく語られるものに「インポスター症候群」があります。

また、女性管理職登用の文脈でよく語られるものに「慈悲的差別(好意的差別)=少数派に対する好意的ではあるが勝手な思い込み」があります。

アンコンシャス・バイアスは成長機会を奪います。
上司/周囲は決めつけずに、その都度、相手の意思を確認する必要があります。

管理職の果たす役割は大きい

女性管理職登用に関しては、女性本人への取り組みが注目されますが、キャリア意識・働き方に多くの影響を与える「直属の上司」への取り組みも必要です。

「女性当人の意識の問題」として語られることがありますが、本人の意識が変わったとしても、上司が変わらなければ効果は限定的です。

管理職や経営層が当事者意識を持って変革に取り組むことが重要となります。

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