2024.1.29

ワークライフインテグレーションとは?注目される背景やメリット、具体例を解説

#仕事と育児の両立
#働き方
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働き方改革が推進されるようになった昨今。仕事とプライベートの両立だけではなく、人生を充実させる取り組みとして、「ワークライフインテグレーション」という言葉に注目が集まっています。

本記事では、企業や個人にとってどのようなメリットがあるのか、推進するうえで重要なことや導入事例についてご紹介します。

ワークライフインテグレーションとは 

ワーク(仕事)とライフ(暮らし)をインテグレーション(統合)するという意味で、双方を充実させることで、生産性の向上や生活の質改善等、仕事と家庭生活の相乗効果を目的としています。

ワークライフバランスとの違い

ワークライフバランスとは、ワーク(仕事)とライフ(暮らし)のバランスを調整して生活の質を向上させる考え方です。
ただ、従来の意味では、「子供の迎えのために仕事を早く終わらせる」「昇進のためにプライベートの時間を削る」等の調整をすることだったため、双方は相反するものと捉えられており、どちらか一方に偏ることのないようバランスをとることが趣旨とされていました。
一方、ワークライフインテグレーションは、仕事とプライベートを対立させず、双方を一体にとらえて総合的な充実度アップを図る考え方になります。

注目される背景

ワークライフバランスでの、ワークとライフはトレードオフの関係で捉えられていましたが、ワークとライフの双方が相乗することで、暮らしの満足度アップや仕事のモチベーションアップに繋がります。
日本ではまだ認知度が高くないものの、働き方改革が進む中で、重要になってくる考え方です。注目される背景としていくつか、例をご紹介いたします。
 

働き方のニーズが多様化している

ワークライフバランスは、子育て世帯から注目される傾向にありますが、ワークライフインテグレーションでは、キャリアアップを目指す若年層や、働きたいシルバー世代など、多種多様な立場の方が、充実した仕事・私生活を得ることを目指しています。また、さまざまな雇用形態のメリット・デメリットの壁が小さくなることを理想としています。

人手不足(労働人口の減少)

少子高齢化社会が進み、人口は減少し、それに伴い、労働人口も減少しているのが今の日本社会です。
そのため、企業は人材確保に苦戦し、採用活動をしてもなかなか良い人材を確保できないのが現状です。
多様化した働き方のニーズに応えなければ、人材確保は難しく、仕事とプライベートを両立させられる働き方をより推進していくことが必要とされています。

働き方改革の広がり

2019年に厚生労働省による「働き方改革推進法案」の一部が施行され、多くの企業で働き方を見直すようになりました。
そのため、「リモートワーク」や「フレックスタイム制」など、働く時間や場所を柔軟にできる制度を導入している企業も増えています。

企業側のメリット

次に、ワークライフインテグレーションのメリットについて紹介いたします。

従業員のモチベーションアップにつながる

企業で導入することで、「従業員のモチベーションアップ」につながります。
ワークライフインテグレーションでは、仕事とプライベートのどちらかを犠牲にする必要がなく、自分のライフスタイルに合わせた業務や仕事の仕方を設定できるため、モチベーションを維持しながら働くことができます。
それに伴い、個人の業務効率が上がり、企業全体の生産性向上にもつながります。

離職率の減少や優秀人材の確保につながる

より柔軟な働き方を実現するために、多様な労働形態を取り入れる必要があります。
リモートワークやフレックスタイム制など、ライフスタイルに合わせた働き方が選択できることにより、育児や介護で離職することなくキャリアを継続できます。
また現場を離れていた優秀な人材確保にもつながります。

ダイバーシティの実現

現在、多様化する価値観を受け入れることで新しい価値を創造したり、個性を活かす考え方が広まっています。
多くの企業で、障害を持った方や、さまざまな事情を抱えた方の採用を強化しており、ワークライフインテグレーションに取り組むことで、より人材のダイバーシティが実現でき、企業の柔軟性も向上すると考えられています。

従業員側のメリット       

仕事とプライベートの両立ができる

仕事と家庭を一体としてとらえるため、片方を犠牲にする必要がありません。
そのため、時短勤務や週休3日制度など、ライフステージに合わせて働き方を選択できるようになり、家庭の事情でキャリアを断念することなく、豊かな人生を送ることができます。

ストレスが減り、時間の使い方にメリハリがつく

長時間労働を是正できることで、時間の使い方にメリハリがつけられます。
仕事で成果を出しつつ、家庭や趣味の時間を捻出するには、時間の使い方を見直す必要があり、短時間で効率よく成果をあげる意識が生まれます。

スキルアップを目指せる

上記で紹介したようにフレキシブルな働き方ができることで、ストレスも減り、その分、積極的に仕事に臨め、勉強する時間を確保できたりと、自己成長にもつながります。
また、プライベートの中から得られた知識やアイデアを仕事に活かすことができ、日々の生活の中でも能力向上が期待できます。

 ワークライフインテグレーションを推進する上で重要なこと

ワークライフインテグレーションを推進する上で重要なことをお伝えします。

従業員側が意識すべきこと

まず、従業員側が意識すべきことからお伝えします。

1. 生産性向上を意識すること

生産性が向上されず、自由な働き方のみを容認すると、成果を出せず企業の業績に影響します。
そのため、長時間労働で生産性を確保するのではなく、今まで以上に業務効率を向上させ、短い時間で高い生産性をあげることが必要です。

2. セルフマネジメントを意識すること

従業員一人ひとりが、「当事者意識を持つ」「自主性を持つ」ことが重要です。
自由な働き方を認める場合は、今までのように業務遂行のやり方を細かく話したり、業務進捗管理を行うことが難しくなるため、自分で考えて自分で行動するスキルが必要になります。

企業側が意識すべきこと

次に企業側が意識すべきことをお伝えします。

1. 働く環境づくり・制度の整備をしましょう

まず、リモートワークのできる環境づくりが必要です。
たとえば、「会社でしか見られない情報がある」「パソコンを持ち帰ることを禁止している」場合は、クラウドサービスを活用する等、ここから改善をしていきましょう。
その他、時短勤務やフレックスタイム制などの理解を従業員同士でもする必要があるため、制度はあるが活用できていない場合は、目的を正しく理解してもらうために社内研修を実施する必要があります。

2. 評価制度の見直しをしましょう

働き方が多様化すると、勤務態度が見えにくくなり、評価基準を統一することが難しくなります。
そのため、職種や雇用形態、労働条件ごとに適正で平等な評価基準を設ける必要があります。

ワークライフインテグレーションの導入事例

ワークライフインテグレーションを導入している企業の導入事例を紹介いたします。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリでは、「YOURCHOICE」という個人と組織のパフォーマンス・バリューがもっとも発揮しやすいワークスタイル(下記3つ)を自ら選択できる制度を導入しています。

  •  働く場所を自由に選択できる
  • 住む場所を自由に選択できる
  • 働く時間を自由に選択できる

パフォーマンスに責任を持つのはメンバー個人という考え方が定着しており、働き方に対する責任も同様に、個人に委ねられるべきだと考えているため、メンバーを縛るルールは必要以上に設けていないそうです。

オリンパス株式会社

オリンパス株式会社では、子育てサポート企業の認定である「くるみんマーク」の取得や、「在宅勤務制度」「リエントリー制度」「役割フレックス制度」「労働時間短縮制度」など多くの制度を設けています。
「育児や介護などの家庭の事情があっても従業員の能力を発揮できる職場環境をつくる」という目的からワークライフインテグレーションの取り組みを推進しています。

3.XTalent株式会社

XTalent株式会社では、多様な価値観を尊重し受け入れることで、個人と組織の活性化を目指しており、「フルリモート」や「フルフレックス」「週休3日制の選択肢」「有給休暇(入社時から付与)」などフレキシビリティの高い働き方を実現しています。
「フルリモート」「フルフレックス」については、100%の実現率となっており、雇用形態に関わらず推奨しているのが特徴です。

まとめ

「ワークライフインテグレーション」は、仕事とプライベートの優先順位をつけずに、どちらも充実させることを目指すことで相乗効果がうまれます。
仕事とプライベートをトレードオフしない働き方がより多くの企業で実現することで、「家庭を優先することに罪悪感を持つ」や「仕事の成功のために結婚や出産を諦める」等が減り、幸福度が高まることにもつながるはずです。
長時間労働の是正や生産性向上、優秀な人材確保等、企業にとってもメリットが多くある考え方のため、双方が歩み寄って働く環境を変えていけると人生がより豊かで実りあるものになるでしょう。

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監修 / 重松 宏規

ビジネススクールを卒業後、「好奇心を切り口にした学びの場をつくりたい」との思いから、教育関連の事業を立ち上げ取締役COOとして経営に従事。その後、上場企業へのM&Aを経てワーキングペアレンツのキャリアの課題に向き合うため、地方からのフルリモートでwithworkへ参画。 高い傾聴力や言語化力から面談満足度も高く、入社後のイメージまで考慮し「その人らしさ」を大切にした求人のご提案を得意としています。

ライター / 岩ノ 瑠璃子

学生時代に企画、取材、執筆、校正等を学び、20万部発行のフリーマガジンにて2010年からライター業に従事。現在は大手企業の人事職として、日々採用活動に奮闘中。リモートワークも多く、仕事終わりの散歩&ジム通いで体力維持とストレス発散をしています!

この記事の監修者
重松 宏規

ビジネススクールを卒業後、「好奇心を切り口にした学びの場をつくりたい」との思いから、教育関連の事業を立ち上げ取締役COOとして経営に従事。その後、上場企業へのM&Aを経てワーキングペアレンツのキャリアの課題に向き合うため、地方からのフルリモートでwithworkへ参画。 高い傾聴力や言語化力から面談満足度も高く、入社後のイメージまで考慮し「その人らしさ」を大切にした求人のご提案を得意としています。

この記事のライター
岩ノ 瑠璃子

学生時代に企画、取材、執筆、校正等を学び、20万部発行のフリーマガジンにて2010年からライター業に従事。現在は大手企業の人事職として、日々採用活動に奮闘中。リモートワークも多く、仕事終わりの散歩&ジム通いで体力維持とストレス発散をしています!