2025.5.27

「転職活動におけるジェンダーバイアス/ギャップ」実態調査2026

#DEI
#女性活躍推進
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労働人口の減少に伴い、あらゆる業界で採用難易度が高まっています。

その一方で、採用の入り口であるはずの面接の場で、無意識のバイアスが優秀な人材の志望度を下げ、意図しない「サイレント離脱」を招いているという「見えない壁」が存在しています。

こうした「サイレント離脱」を回避しつつ、候補者の尊厳を守り、実力を見極め、双方が納得して働ける環境を作っていくためには、どうしたら良いか。

ワーキングペアレンツ向け転職サービス『withwork』を運営するXTalent株式会社は、公益財団法人山田進太郎D&I財団の協力のもと、転職活動における「ジェンダーバイアス」の実態と、企業側が候補者と誠実に向き合い信頼関係を築くための「対話のあり方」を明らかにするため、アンケート調査を実施しました。

調査結果(サマリ)

・面接官のバイアスを含んだ発言や質問が、候補者の「辞退/志望度低下」につながる
男性に比べ、女性の方がキャリア意欲や年収に関わらず、広くバイアスにさらされていることが明らかに。そして、「辞退/志望度低下」の割合も高い傾向にありました。とくに女性の6割以上が、「結婚・出産に関する質問」や「業務における性別役割を前提にした発言」において、ネガティブな反応を示していました。
9割の男女が、面接官の発言に違和感を感じても「企業側に伝えない」
違和感を感じた際に直接企業側に伝えた人は、男女ともに少数派(女性:2.3%、男性:9.1%)。大半が「伝えなかった」と回答。その一方で、男女ともに3割が転職エージェントという第三者には伝えていました。
・辞退リスクを上げるのは「リスペクトの欠如」「性別に対する決めつけ」「懸念」を感じさせる発言
男女ともに7割近くが、相手へのリスペクトの欠如を連想させる発言に対して、ネガティブに反応。企業と候補者、双方が納得して働ける環境を作るためには、以下を意識した「対話」の必要性が示唆されました。
1.性別による決めつけ ではなく、「個」として正当に評価
2.「懸念(候補者の継続性を疑うための確認)」ではなく、「配慮(候補者を支援するための発言)」に基づくすり合わせを目的とした発言として、候補者に届くことを意識

アンケート概要

・調査テーマ:転職活動におけるジェンダーバイアス/ギャップ
・調査対象:転職活動を経験したことがある男女
・調査期間:2026年3月27日〜2026年4月15日
・調査手法:インターネット調査
・有効回答数:136サンプル
・調査主体:XTalent株式会社
・調査協力:公益財団法人 山田進太郎D&I財団

「転職活動におけるジェンダーギャップ/バイアス」に関する調査結果

以下、本調査の結果です。

キャリア意欲や年収に関わらず、女性は広くバイアスにさらされている

まずはじめに、転職活動の面接や選考過程において、以下の発言を受けた経験があるか尋ねました。

■ 性別を前提とした発言
例:「女性でも活躍できますよ」「女性の社員も多いです」「男性が多い職場ですが大丈夫ですか」「営業は男性が多くて、アシスタント系の業務は女性が多いですね」「女性エンジニアは珍しいですね」など
■ 家庭事情に関する質問
例:「ご家庭との両立は大丈夫ですか」「お子さんのお迎えなどは大丈夫ですか」「転勤がある可能性がありますが、問題ありませんか」「育児や介護のご予定はありますか」「パートナーの方は仕事はどうされていますか」など
■ 結婚・出産に関する質問
例:「結婚の予定はありますか」「将来的に出産の予定はありますか」「お子さんの予定はありますか」「結婚後も働く予定ですか」「出産後も働き続けたいですか」など
■ 業務における性別役割を前提とした発言
例:「男性ならリーダーを目指したいですよね」「女性の方がサポート業務に向いていますよね」「男性は転勤できる人が多いです」「女性はコミュニケーションが得意ですよね」「男性社員は長く働く人が多いです」など

その結果、女性の方が全体的にこのような発言や質問を受けた経験率が高いことが分かりました。とくに、「性別を前提とした発言」では、57%が経験していました。一方、男性も「家庭事情に関する質問」については44.8%と高く、性別を問わずなされていることが伺えました。

次に、「キャリア意欲」「管理職経験」「最高年収」別に、こうした発言や質問を受けた経験があるかの傾向を調べました。

まず女性の場合、属性ごとの統計的な有意差はみられず、広くバイアスにさらされていることが分かりました。この結果は、「自分は◯◯だから大丈夫」といった避難場所がないことを意味し、候補者側がどれほど対策しても、採用企業側の面接官の意識が変わらなければ、これらの質問は一定の確率で発生し続けると考えられます。

男性の場合も、女性と同様、属性ごとの統計的な有意差はみられませんでした。

<以下、女性の回答>

▼キャリア意欲別

▼管理職経験の有無別

▼過去最高年収別(※現職が過去最高年収の場合は、現職の年収)

<以下、男性の回答>

▼キャリア意欲別

▼管理職経験の有無別

▼過去最高年収別(※現職が過去最高年収の場合は、現職の年収)

面接官のバイアスを含んだ発言や質問が、候補者の辞退や志望度低下につながる

次に、こうした発言が、企業への志望度や辞退へどのように影響したかを分析しました。

その結果、男性に比べて女性の方が「辞退/志望度低下」の合計割合が高い傾向にありました。とくに「結婚・出産に関する質問」や「業務における性別役割を前提にした発言」において、女性の6割以上がネガティブな反応を示していることが分かりました。

<以下、女性の回答>

<以下、男性の回答>

ネガティブに影響しうる、面接官の【性別を前提とした発言】の特徴

具体的に、面接中のどのような「性別を前提とした発言」が、候補者の志望度に影響を与えたかを分析しました。

「辞退した」層は、「志望度が下がらなかった」層と比較すると、その発言内容の「度合い」や、企業側の「性別に対する決めつけ」がより明確で、かつ候補者のキャリア志向を否定するものになっていることがわかりました。

<「辞退した」層が受けた具体的な発言>

  • 「子どもが生まれる前と同じ働き方はできないですよと言われ、大きく下がる年収を提案された(40代女性、マネージャー層、最高年収:1000~1499万円)」
  • 「この会社だと子育てしている女性が昇進するのは難しいと思う、と言われた。マネジメント希望だったため、ここで働くのは難しいかなと感じた。(30代女性、リーダー層、最高年収:800~999万円)」
  • 「50代、CxOクラスの男性の面接官に、『お母さんなのによく働きますね』と言われた。(30代女性、リーダー層、最高年収:800~999万円)」
  • 「30代前半の面接官からそうした発言を聞き、倫理観に欠ける会社だと思った。(40代男性、一般社員、最高年収:600~799万円)」

また、「志望度は下がったが辞退はしなかった」層は、選考を進めつつも、こういった発言に対して明確な不快感を抱いており、他社からより条件の良いオファーがあれば即座に離脱する「予備軍」でもあることが伺えました。企業が「辞退されなかったから問題ない」と判断することは、入社後のミスマッチや、優秀な層からの「静かな離脱」を見過ごすリスクを孕んでいることが示唆されました。

<「志望度は下がったが辞退はしなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「面接官は、40代、課長クラスの男性。お子さんも小さいし、年収が下がっても許容できますか?頼りになる親族などは近くにいますか?旦那さんは育児に協力的ですか?と聞かれた。まぁ気になるだろうし、仕方ないな。こういった本来NGなことを直接聞かれるくらいに、子どもがいると市場価値が下がるのだなと思った。(30代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」
  • 「お子さんがいても働けます」と言われたが、これが同年代の男性であれば言われないのではと思います。おそらく先方は安心させるために言っているとは思うのですが、違和感がありました。(30代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」
  • 「40代女性で転職を考えるなんて凄いよね、と言われた。(40代女性、リーダー層、最高年収:1000~1499万円)」

「志望度はとくに下がらなかった」層に関しては、諦めに近い感情を抱いている層と、仕事と育児の両立ができる環境に関する有益な情報としてポジティブに捉えている層に、二分化されました。

<「志望度はとくに下がらなかった」層が受けた具体的な発言>

▼パターン①:諦めに近い感情を抱いている層

  • 「元々営業は男性畑のイメージだったので、特に何かを感じることはなかった。(30代女性、一般社員:最高年収:~599万円)」
  • 「よくあるので特に印象にない(30代男性、一般社員、最高年収:800~999万円)」
  • 「50代男性、役員?明らかに女性を見下したような感じだった。『女性でも活躍してる方はいます』(30代女性、一般社員:最高年収:~599万円)」

▼パターン②:有益な情報としてポジティブに捉えている層

  • 「面接官は、40代女性の係長。『女性の社員が多いです』『子育て中のママもいます』と言われ、安心感があった。(30代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」
  • 「特に嫌な気持ちはない。子育てしているパパも多いですよと流れで教えてもらった感じです。面接官は、人事の女性。(30代男性、一般社員、最高年収:1000~1499万円)」
  • 「『経営者もパパですし、社員にも子育てしている人が多いですよ。』と言われた。自分自身も気にしている内容だったので違和感がなかった。(30代男性、一般社員、最高年収:1000~1499万円)」
  • 「『こういう働き方をしているワーママさんもいますよ!』といった事例の紹介で、自分のマッチする情報提供だったのでポジティブにうけとりました。(40代女性、リーダー層、最高年収:~599万円)」

ネガティブに影響しうる、面接官の【家庭事情に関する質問】の特徴

次に、面接中のどのような「家庭事情に関する質問」が、候補者の志望度に影響を与えたかを分析しました。

その結果、面接官の質問の背景にある「意図」が、「配慮(候補者を支援するための発言)」として届くのか、それとも「懸念(候補者の継続性を疑うための確認)」として届くのかといった違いが、候補者の志望度に影響していることが分かりました。

<「辞退した」層が受けた具体的な発言>

  • 「今後の介護の影響は、どうでしょうか。突発で不在が多くなったりしないでしょうか。(50代男性、その他、最高年収:1000~1499万円)」
  • 「30代、人事の男性からの質問。『子どもが小さいけど、病気の時は誰がみるの?実家は近いの?』休まれると迷惑だし、お荷物なんだと感じた。(40代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」
  • 「家庭に重きを置かれすぎるのは困るというニュアンスのことを言われました。面接官は、30〜40代男性で役職者の方でした。(30代女性、一般社員、最高年収:「~599万円)」

<「志望度は下がったが辞退はしなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「『家庭との両立は可能なのですか?』『フルタイムでなく、時短でも入社可能です。』『お子さんいらっしゃるのであれば、コンサルタントではなく、リサーチャーはどうですか?』などの発言。(30代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」
  • 「夫が単身赴任となることが決まり、現職へ転職しました。『旦那さんについていかないの?』『お子さんもいて新しい仕事大変じゃない?』と言われました。その時の感情としては「昭和的な考え」「家庭の都合の深掘りはしてほしくない」と感じました。面接官は社長で、50代男性です。(30代女性、一般社員、最高年収:600~799万円)」
  • 「『お子さんがいらっしゃるなら残業は難しいのでは?』と、30代男性のマネージャークラスから言われた。こちらから説明する前に決めつけられて嫌だった。(30代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」

<「志望度はとくに下がらなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「お子さんの送迎などについて時間や業務など配慮すべき点はあるか、というニュアンスで聞かれた。面接官は、30代男性です。(30代女性、一般社員、最高年収:600~799万円)」
  • 「自らも子育てしながら働けるかを気にしていたし、履歴書にも記載していたので、適切なすり合わせだと感じた。(30代男性、一般社員、最高年収:1000~1499万円)」
  • 「子育てしながら働けるかは根幹に関わる部分だったので違和感はなかった。むしろ、欲しかった情報という方が正しいかもしれない。(30代男性、一般社員、最高年収:1000~1499万円)」

ネガティブに影響しうる、面接官の【結婚・出産に関する質問】の特徴

続いて、具体的に、面接中のどのような「結婚・出産に関する質問」が、候補者の志望度に影響を与えたかを分析しました。

その結果、候補者側が「差別のシグナル(性別で採用の可否を決めている)」として認識した場合、離脱につながることが分かりました。とくに、そうした発言を受けて辞退した層は、バイアスによる「決めつけ」への大きな不快感を示していることが分かりました。一方で、「出産後の仕事の継続」に関する質問については、志望度への影響は低いことが伺えました。

<「辞退した」層が受けた具体的な発言>

  • 「30代男性の社長から『結婚したてだから、すぐ妊娠するんでしょ?』といった発言。驚愕です。(40代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」
  • 「20代前半の時に『彼氏いるの?いる?じゃあすぐ子ども作って辞めるかもね。』と50代男性の面接官に言われた。(30代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」

<「志望度は下がったが辞退はしなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「50代、常務理事の男性から『結婚はいいけど、出産したら皆辞めてもらってる』の発言。(40代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」
  • 「『結婚の予定はあるか?』『子供をまた産む予定はあるか?』50代、部長レベルの男性からの質問。(30代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」
  • 「プライベートを探られたようで嫌だった。(40代女性、一般社員、最高年収:600~799万円)」

<「志望度はとくに下がらなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「パートナーはいますか?ライフステージが変わっても仕事は継続していきたいですか?(30代女性、リーダー層、最高年収:600~799万円)」
  • 「出産後も働き続けたいですか?(20代女性、一般社員、最高年収:600~799万円)」

ネガティブに影響しうる、面接官の【業務における性別役割を前提にした発言】の特徴

最後に、具体的に面接中のどのような「業務における性別役割を前提とした発言」が、候補者の志望度に影響を与えたかを分析しました。

その結果、面接において性別による役割を決めつける発言は、候補者の「個人としての能力」を否定し、「正当に評価されていない」ことへの嫌悪感を抱くきっかけになっていることが明らかになりました。また、面接官の発言が、候補者には「時代錯誤」としてネガティブに受け取られているケースがあることも伺えました。

<「辞退した」層が受けた具体的な発言>

  • 「『女性を管理職に登用しなければいけないというムードがあるので、簡単に管理職になれる』と言われた 実力で評価されていないと感じて辞退した。50代男性の発言です。(40代女性、マネージャー層、最高年収:1000~1499万円)」
  • 「40代男性、マネージャークラスから。『女性ならではの視点でカスタマーサポートで頑張ってほしい』といった発言。入社前からレッテルがはられるんだなと思い、嫌だった。(30代女性、マネージャー層、最高年収:800~999万円)」
  • 「書類応募前の時点でエージェント経由で、『このポジションは女性を想定していないと言われた』と言われた。(30代女性、リーダー層、最高年収:~599万円)」

<「志望度は下がったが辞退はしなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「60代、男性の社長から言われた『土木女子部とかを作りましょうか』『女性の方が声が通るし、皆さんに聞いてもらえるでしょう』といった発言。気持ち悪い。何故土木男子とは言わないのにどうして?(40代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」
  • 「40代男性、人事の課長から『営業だと女性らしさが武器になることもある。』と言われた。(30代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」
  • 「女性だと長い時間は働けないですもんね。(30代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」

<「志望度はとくに下がらなかった」層が受けた具体的な発言>

  • 「40代男性、部長職から『女性管理職になってもらいたいと思っている』と言われた。(30代女性、一般社員、最高年収:~599万円)」
  • 「50代、男性の社長から『女性社員は優秀な人が多いから』と言われた。はい、そうですかという感じ。(40代女性、一般社員、最高年収:800~999万円)」

9割の男女が、面接官の発言に違和感を抱いてもー「企業側に伝えない」

次に、面接で感じた違和感を、候補者が企業側もしくは転職エージェントに伝えているかについて、調べました。

その結果、直接企業側に伝えた人は、少数派でした(女性:2.3%、男性:9.1%)。そして、男女ともに3割が転職エージェントという第三者には伝えるものの、大半が企業にも転職エージェントにも「伝えなかった」と回答しました。

この「沈黙」こそが、企業が自社の採用プロセスにおけるバイアスを検知できず、改善の機会を失っている原因であることが示唆されました。

候補者の多くが「選考への不利益を懸念」し、沈黙する

なぜ、候補者は「沈黙」するのでしょうか。

沈黙の要因として、女性の41%、男性の29%が「選考への不利益を懸念」と回答しました。
また、女性の17%、男性の29%が「すでに辞退を決めていたから」と回答しており、不適切な面接が行われた時点で、候補者は「改善を求める(=交渉する)」ことよりも「関係を断つ(=辞退する)」ことを優先していることが分かりました。企業にとっては、フィードバックをもらう機会そのものが、「辞退」という形で完全に失われていることが明らかになりました。

面接中の「辞退/志望度低下」リスクの高い発言の特徴

最後に、面接官のどのような発言が、候補者の「辞退」や「志望度低下」のリスクになりうるか調べました。

その結果、たとえ面接官が親しみを込めて、場の空気を和ませることを目的として発した言葉であっても、候補者は以下のような視点で、その発言を厳しく評価していることが分かりました。

  • 「自分」という人間を正当に評価してくれるか
  • 多様な働き方を許容する文化があるか
  • 面接官は、自社の課題を認識できているか

<以下、女性の回答>

<以下、男性の回答>

 これらの結果から4つの傾向がみえてきました。

1. 相手へのリスペクトを欠いた言動が「即辞退」を招く

男女ともに特定の属性に対する偏見や固定観念を感じさせる発言に対し、極めて敏感に反応していることが分かりました。 とくに、面接官が社内メンバーを「そいつ」「その子」と呼び分ける行為は、全項目の中で最も選考辞退を引き起こすリスクが高いことが明らかになっています。

単なる言葉遣いの癖であったとしても、候補者はそれを「社員を軽んじているサイン」として受け取ります。相手への敬意を欠いたコミュニケーションは、企業文化への不信感に直結し、致命的な辞退要因になり得ると言えます。

2. 性別で役割を決めつける発言が「信頼」を壊す

「男性だから」「女性だから」というステレオタイプに基づいた役割の押しつけは、候補者の志望度を下げる大きな要因となることが分かりました。

  • 【役割の固定化】「営業=男性、アシスタント=女性」「男性は長く働く」と言った発言に対し、 男性の6割が違和感を抱き、1割は辞退。
  • 【出産予定の質問】 女性9割、男性8割が、「辞退/違和感を感じる」と回答。

  • 【男性は長く働けるという偏見】 女性9割、男性7割が、「辞退/違和感を感じる」と回答。

候補者は「個として能力を正当に評価されないリスク」を敏感に察知します。性別というフィルターを通した評価は、現代の転職市場では大きなリスクになる実態が浮き彫りになりました。

3. 「配慮のつもり」と「違和感」の乖離

「子育てと仕事の両立は大変ですよね」や「女性も多い職場ですよ」は、「気にならない」と答える人が多く、候補者側も一定の配慮として受け取っていることが分かりました。 しかし、ここで注意すべきは、「やや違和感を感じる(辞退はしない)」層の存在です。一見問題ないように見える発言でも、常に一定数の候補者が「違和感」を抱えており、これが蓄積することで静かな離脱や入社後のエンゲージメント低下を招くリスクがあることが分かりました。

4. 「ロールモデル」の押し付けの難しさ

「ロールモデルになってほしい」という発言は、企業側からすると候補者への「期待」の表れかもしれません。しかし、女性の15.1%が「辞退する」、52.8%が「やや違和感」を感じており、「性別による役割の押し付け」としてネガティブに作用する可能性があることが伺えました。

調査の総括:採用競争力を低下させないために必要な「対話」意識

本調査では、中途面接のおける面接官の「バイアス」が、候補者の「サイレント離脱」を招き、企業の採用競争力を低下させている可能性があることが明らかになりました。

一方で、面接官が候補者に対して、「何も聞いてはいけない」という過度な萎縮に繋げてしまうことは、採用活動において本末転倒と言わざるを得ません。

候補者の尊厳を守り、実力を見極め、双方が納得して働ける環境をどう作っていくか。

入社後のミスマッチを防ぎ、バイアスを排除し、対等なパートナーシップを築くための「対話やすり合わせ」のポイントも、本調査を通してみえてきました。

企業側の「意図」と候補者側の「解釈」の乖離

企業側からすると、「長く活躍してほしい」「自社の制度を伝えたい」という意図で質問をしているケースもあるかもしれません。しかし、候補者がその言葉を「自身の能力」ではなく「性別やライフステージ」というフィルターを通した発言と受け取ると、志望度の低下や選考辞退を招く恐れがあります。この「意図」と「解釈」のズレを放置し続けると、候補者は「正当に評価されていない」と感じ、静かに離れていってしまいます。

決めつけによる「質問」から「情報開示」へ

属性によるラベリング(決めつけ)は、候補者から「個としての能力」を軽視されたというネガティブなシグナルとなります。一方で、入社後のミスマッチ防止のためには、ライフプランについて確認しなければならない場面も出てくるでしょう。重要なのは、一方的に問う「質問」ではなく、自社の制度や柔軟な働き方を提示する「情報開示」へとコミュニケーションを転換すること。これが、個を尊重したすり合わせの第一歩となります。

双方が納得して働ける環境を作るための「対話」を意識

ただし、リスク回避のために、「何も聞いてはいけない」と過度に萎縮する必要はありません。問題の本質は「聞くこと」自体ではなく、属性フィルターによる「決めつけ」にあります。 候補者が面接官の言葉に「配慮」を感じれば、それはポジティブな体験に変わります。カテゴリーで判断するのではなく、「目の前の候補者の状況を把握し、双方が納得して働ける環境をどう作るか」という対話の姿勢を持つことが不可欠です。

「期待値の相互すり合わせ」を目指す

たとえば、「今後、出産の予定はありますか?」という質問が「リスクの確認」と受け取られるのは、そこに「候補者のキャリア」と「企業の受け入れ体制」の対話がないからです。 目指すべきは、性別や子の有無にかかわらず、「お互いがどのような働き方を望み、企業としてどのようなサポートが可能か」という期待値の相互すり合わせです。企業側は「長く働けるか」という不安を質問で埋めるのではなく、自社の制度や支援体制を開示した上で、「ご自身が長く活躍するために、どのような環境があればより良いとお考えですか?」といったような、双方向のすり合わせを行いましょう。

企業文化としての「納得感」を醸成する

たとえバイアスを含んだ言動をとったのが組織の中でその面接官一人だったとしても、候補者は「組織全体が古い価値観を持っているのではないか」という強い不安を抱きます 。属性に基づいた無意識の言動は、候補者に「この会社は古い価値観や不適切なバイアスを放置している」「個を軽視する文化がまかり通っている」という疑念を抱かせ、組織全体への不信感に直結しかねません 。

多様な人材を受け入れるためには、面接手法の転換を単なる「リスク回避のテクニック」ではなく、「企業文化のアップデート」と捉える必要があります 。「女性だから」「子育て中だから」といった属性による前提を一度捨て、目の前の一人ひとりの背景と誠実に向き合う 。その「対話」の姿勢こそが、現代の転職市場において候補者から選ばれ続け、入社後の定着率を高める根幹となるのです 。

回答者のデモグラフィックデータ

<女性の回答者(107名)>

・年齢
25~29歳:2.8% / 30~39歳:61.7% / 40~49歳:35.5%

・職業
会社員:85.0% / 派遣・パート・アルバイト:4.7% / 自営業・個人事業主:3.7% / 専業主婦:2.8% / 公務員:1.9% / その他:1.9%

・役職
一般社員:59.8% / リーダー層(主任、課長、係長):25.2% / マネージャー層(部長、本部長):5.6% / 経営層(取締役、役員、代表):0.9% / その他:8.4%

現在の職種
管理部門(総務、人事、労務など):17.8% / 営業(法人営業・個人営業):13.1% / 事務(一般事務・営業事務など):12.1% / カスタマーサクセス・カスタマーサポート:10.3% / マーケティング・販売企画・商品開発:9.3% / クリエイティブ職:7.5% / コンサルタント・リサーチャー:7.5% / IT・Webエンジニア:5.6% / その他:5.6% / 経営・経営企画・事業企画:5.6% / 教育・保育職:3.7% / 物流関連職:1.9%

・子どもの有無
いる:87.9% / いない:12.1%

<男性の回答者(29名)>

・年齢
30~39歳:69.0% / 40~49歳:20.7% / 50~59歳:10.3%

・職業
会社員:86.2% / 会社経営・役員:3.4% / 自営業・個人事業主:3.4% / 派遣・パート・アルバイト:3.4%/ その他:3.4%

・役職
一般社員:31.0% / リーダー層(主任、課長、係長):48.3% / マネージャー層(部長、本部長):10.3% / 経営層(取締役、役員、代表):3.4%/ その他:6.9%

現在の職種
営業(法人営業・個人営業):27.6% / カスタマーサクセス・カスタマーサポート:17.2% / 管理部門(総務、人事、労務など):13.8% / コンサルタント・リサーチャー:10.3% / マーケティング・販売企画・商品開発:10.3% / エンジニア(機械・電気等):6.9% / IT・Webエンジニア:3.4% / その他:3.4% / クリエイティブ職:3.4% / 経営・経営企画・事業企画:3.4%

・子どもの有無
いる:96.6% / いない:3.4%

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