2024.4.2

子どもを持つと不利?チャイルドペナルティが起こる原因と回避・脱却する方法

#キャリア
#仕事と育児の両立
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家庭と仕事、両方を大切にしたい女性を悩ます「チャイルドペナルティ」。
実際に、共働き&子育て世代の転職支援サービス『withworkに登録される方で、チャイルドペナルティを避けるためにリモートワークやフレックス制度を利用して、フルタイムで働くことを希望する方は少なくありません。

本記事では、日本や世界のチャイルドペナルティの現状、その原因、回避・脱却する方法についてご紹介します。

チャイルドペナルティとは?

チャイルドペナルティとは、子どもを持つことで生じる社会的・経済的に不利な状況を指します。
男女ともに起こりうる可能性がある概念ですが、父親よりも母親の方がこうした状況に陥りやすいことから、別名「マザーフッドペナルティ」と呼ばれることもあります。

具体的なチャイルドペナルティの内容

では具体的に、「社会的・経済的に不利な状況」とはどういう状態を指すのでしょうか。
育児に専念するための退職や育休の取得、時短勤務や非正規雇用への転換による収入の減少などは
、比較的イメージされやすいでしょう。
他にも、育休から復職後マミートラックに陥り、昇進に歯止めがかかったり、重要な仕事を任されるチャンスを得られにくくなるといったキャリアロスも、
チャイルドペナルティが生じる要因です。

世界のチャイルドペナルティの現状

チャイルドペナルティは日本に限らず、世界各国で起こっている現象です。
近年、学歴など様々な項目でのジェンダーギャップが縮まっている傾向にある一方で、チャイルドペナルティ由来の男女間の賃金格差はほとんど変化がなく、
完全なジェンダーギャップの解消には至っていないのが現状です。

日本のチャイルドペナルティの現状

日本は先進国の中でもチャイルドペナルティの程度が大きく、女性の生活や人生に大きく影響していると言われています。
古村典洋氏(財務省財務総合政策研究所)によると、
日本では第1子が生まれたことにより産前よりも賃金が70%程度も減っており、さらに結婚・妊娠を機に退職の道を選ぶ女性が一定数いることから賃金の落ち込みが他国と比べて産前から始まっている傾向にあります。
この原因としては、出産だけでなく結婚や妊娠による退職や労働条件の変更等が考えられると言われています。

チャイルドペナルティはなぜ起こるのか?

チャイルドペナルティの原因は働く女性個人の問題だけでなく、社会の価値観や風潮、社会制度も複合的に絡み合った結果だと考えられます。
ここでは原因の一例をご紹介します。

「家事育児は女性」という固定観念

男性の育児参加や育休取得率の増加が近年注目されはじめました。
一方で、
その背景としてあるのが「家事や育児は女性がするもの」という今も社会に強く根付いている価値観です。
そうした社会通念のもと、例えば子どもの急な発熱で早退するのはママであることが多い、夕方以降の会議や社内イベントの参加頻度もママの方が少ないなど、妻の方が子育てを中心に生活を営んでいるご家庭が少なくありません。
このような小さなことの積み重ねが、女性のキャリアロス
につながっていると考えられます。

定長年の長時間労働を是とする社会的な風潮

働き方改革やコロナ禍をきっかけに、残業時間の是正や柔軟な働き方へのシフトが各業界で行われはじめています。
しかし、業界・業種によっては長時間労働が常態化しており、ついていけないと退職を余儀なくされたり、昇進・昇給の機会が遅れたり、雇用形態を変更せざるをえないこともあるでしょう。

チャイルドペナルティのデメリット

では、チャイルドペナルティが続くことによって、個人・組織・社会にどのようなデメリットが考えられるでしょうか。

女性の仕事への意欲低下

仕事と家庭の両立に悩む女性はいまだ多く、産後職場復帰しても希望するキャリアを描けないことや子どものケアや教育に時間をかけたいことを理由にパート・アルバイト・派遣社員などの非正規雇用に切り替えたり、就業からリタイアして専業主婦になるケースは多く見られます。
また、そのような女性を身近で見て、将来のキャリアをポジティブに捉えられない女性もまたいることでしょう。
自治体や企業が男性と女性の労働におけるジェンダーギャップをいかに埋める施策を検討したとしても、チャイルドペナルティによって労働者の就業意欲が低下している状態では十分に機能しないことが想像されます。

出生率の低下

価値観の多様化により色んな生き方の選択肢を取りやすくなった現代において、チャイルドペナルティが大きい社会ではあえて出産を選択しない家庭が増える可能性が考えられます。
出産を機に退職や時短勤務を選択せざるをえず、今までつみあげてきたキャリアや評価がふり出しにもどる喪失感は、大なり小なりあるものです。
そのような世代を見てきた次世代の女性たちが結婚・妊娠・出産を躊躇し、結果、出生率低下が加速し、世界的な人口動態にも影響を及ぼすことは十分に考えられます。

組織や国の発展、成長スピードが減速する

女性が妊娠・出産するタイミングは、ちょうどキャリアアップの時期と重なると言われています。
女性が産休育休を終えて復帰した後そのキャリアを継続する機会に恵まれなければ待遇の向上は見込めないでしょうし、賃金が上がらないどころか下がるようであれば、その個人の労働意欲、キャリアプラン、経済状況にネガティブに作用するだけでなく、企業・組織にとっては労働力の損失と成長スピードの減速にも繋がります。
そして、そのような状況が国全体で解消されないままなのだとしたら、自治体や国の経済にもマイナスに関わってくるでしょう。

チャイルドペナルティを回避・脱却するには?

チャイルドペナルティは個人の問題だけでなく企業・社会・国全体の問題と捉えそれぞれが対策を立てるのが望ましいと考えられます。
ここではまず、個人のアクションでチャイルドペナルティを回避する手段をご紹介します。

柔軟な働き方ができる職場に身を置く

近年、ワーキングペアレンツが活躍できる制度設計に注力する企業は増加傾向にあります。
福利厚生や賃金体系、評価制度、働き方などを工夫し柔軟に働ける職場の選択肢はたくさんありますので、今勤めている環境で「仕事か育児か」の二択を考えるだけでなく、広い視野でキャリアを検討してみると良いでしょう。

効率的&効果的に、そうした企業の求人を探すためには、共働き&子育て世代の転職支援に特化した転職サービスを活用するのも1つの手です。
たとえば『withwork』では、「キャリアとライフをトレードオフにしない」をコンセプトに、共働き&子育て世代向けに柔軟な働き方が可能な求人を厳選してご紹介しています。
最近では、「妻のキャリアを大切にしたい」「家庭で過ごす時間を大切にしたい」と、男性の登録者も増加傾向にあります。
まずは選択肢を知るためにも、ぜひお気軽にwithworkにLINE登録&相談してみてくださいね。

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家族や自治体・民間サービスを頼る

家事育児は母親がするもの、夫や家事代行サービスに頼るのにはためらいがある、という考えを捨てきれない女性は多くいるでしょう。
自分が主だって家事育児をすることにやりがいを感じ、心から楽しめているのであれば無理に役割を剥がそうとする必要はないのかもしれませんが、もしも負担が重く仕事を続けたいのに続けられない障壁になってしまっているのであれば、どうやって解決していくのかを「個人の問題」ではなく「家庭の問題」として家族と話し合い、役割分担を見直してみましょう。
家族の状況によってはどうしても分担が難しい場合もあるでしょうから、その場合は自治体や民間による家事・育児関連のサービスをうまく活用するなど、一部外部委託することを検討するのも一手です。
たとえば、筆者の知り合いのママは料理が大の苦手で、料理だけ週1で作り置きを自宅に作りに来てくれるサービスを利用しているとのことです。
まずは自分が嫌い・苦手な家事だけ切り離してみるのも良いかもしれません。

企業がチャイルドペナルティを解消するためにできることは?

次に企業がチャイルドペナルティを解消するためにできることを考えてみましょう。
業界や業種、経営陣の価値観などで取り入れられる内容や程度は相当変わってくるかと思いますが、まずは経営上無理なくできるところから小さく始め、ワーキングペアレンツや周囲の社員のフィードバックを得ながらトライするのがおすすめです。

長時間労働せずとも、組織に貢献できる仕組みづくり

もしも自分の所属する企業が長時間労働を良しとする価値観をもつ組織であれば、少しずつでも変えられないか考えてみましょう。
たとえば、労働時間が短くても価値を発揮している社員、生産性が高い社員が社内にいないか、そのような人たちを評価できる制度づくりをどうしたらいいかなどを検討の起点にしてみると良いかもしれません。
他社事例を参考にしてみるのも良いでしょう。

短時間でもパフォーマンスを高く出せる社員の割合が増え、その人達が働きやすい仕組みを提供することができれば全社的な残業代が減ることによってコスト削減も期待でき、社員の離職防止や採用力強化、勤怠の改善などお金だけでないメリットも期待できます。

男性の育児参加への理解促進

近年では男性の育児休業取得を促進するために給与の補償やキャリアロスの防止施策、上司や周囲の社員の理解を促す働きかけなどを実施する企業がメディアに取り上げられるようになりました。
また、そのような動きを推奨するために厚生労働省による「イクメンプロジェクト」での情報発信もさかんに行われています。
さらに法改正も進んでおり、令和4年からは改正育児・介護休業法が段階的にスタートしています。

一方で、育児にもっと参加したい男性が育児休業取得を上司に言い出せなかったり、会社の雰囲気的に他の社員より早く退社しにくいといった現場もまだまだたくさんあるでしょう。
そのような状態が続けば離職率の上昇や社内の雰囲気の悪化を招きかねません。

社会の流れに乗り、男性社員の育児参加を促す動きを検討してみませんか。
法律が改正されたことをきっかけに、という切り口の提案であれば、周囲の理解も得られやすいかもしれません。

まとめ

チャイルドペナルティは当事者の意識や価値観だけの問題ではなく、企業・自治体・国規模で広く考えなければならない問題です。
賃金は就業意欲や継続に関わる大きな要素であり、ワーママ・ワーパパ世代がキャリアを継続できるようなサポートをどう仕組み化できるかは企業内の労働力・生産性向上や社風づくりの観点からも組織単位で働きかけることが不可欠です。
子どもを育てる選択をした個人の責任として捉えるのでなく、多様な生き方をする従業員たちが活躍できるような会社作りという観点から、少しずつ解消策を模索していきましょう。

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監修 / 筒井 八恵

佐賀大学医学部卒業後、助産師として日本赤十字社医療センターでハイリスク妊産婦や家族への専門ケアを行う。企業の就労環境に課題意識をもったことを機に採用・人事支援ベンチャーを経て、「ママリ」を展開するコネヒト株式会社でアカウントプランナー、アライアンスリード、事業開発等を行う。自治体や大学などの教育機関との共創事業立ち上げや研修講師を経験後、XTalent株式会社に参画。企業のDEI推進事業の立ち上げ後、現在に至る。

ライター / 酒井 梨恵

社会保険労務士。一橋大学卒業後、複数のベンチャーでの経験を経た後、現在はSaas系ベンチャーにて1人目の労務専任として勤務。労務実務の網羅的な経験や従業員へのきめ細やかなフォローを強みとする。社労士の他に第二種衛生管理者、年金アドバイザー3級、障害者職業生活相談員の資格保有。1児の母。

この記事の監修者
筒井 八恵

佐賀大学医学部卒業後、助産師として日本赤十字社医療センターでハイリスク妊産婦や家族への専門ケアを行う。企業の就労環境に課題意識をもったことを機に採用・人事支援ベンチャーを経て、「ママリ」を展開するコネヒト株式会社でアカウントプランナー、アライアンスリード、事業開発等を行う。自治体や大学などの教育機関との共創事業立ち上げや研修講師を経験後、XTalent株式会社に参画。企業のDEI推進事業の立ち上げ後、現在に至る。

この記事のライター
酒井 梨恵

社会保険労務士。一橋大学卒業後、複数のベンチャーでの経験を経た後、現在はSaas系ベンチャーにて1人目の労務専任として勤務。労務実務の網羅的な経験や従業員へのきめ細やかなフォローを強みとする。社労士の他に第二種衛生管理者、年金アドバイザー3級、障害者職業生活相談員の資格保有。1児の母。