ある教育系NPOが一都三県の小学校1年生~6年生の子どもをもつ働く女性1,000名を対象に実施した「小1の壁」に関する調査によると、子どもの小学校入学にあたって、「働き方を変えた」人は37.9%でした。そのうち約4割が「時短勤務に変更」(27.4%)や「正社員から別の雇用形態へ変更」(12.4%)など、柔軟な働き方を求めて就労形態を見直していることが明らかに…。
ワーキングペアレンツのためのハイクラス転職サービス『withwork』にも、
「小1の壁が近づいている。柔軟な働き方で長く働ける職場を早めに見つけ、仕事と私生活を両立させたい」
「子どもの小学校入学を来年に控え、今の仕事をこのまま続けて行くのは難しい」
「再来年に子どもが小学校入学。働き方の効率を上げたい」
といったご登録やご相談が男女問わずに寄せられています。
実際に「小1の壁」にぶつかったwithworkキャリアアドバイザー・吉田悠平に、コンテンツディレクター・栗林杏子が、小学校入学前後に大変だったこと、学童選びで苦労したことなどを聞いてみました。
【入学前】学校生活、日常生活の変化。働きながら目を向けるのが大変
「小1の壁は、小学校入学前から始まっている」と聞いたことがあります。悠平さんは、いつ頃から準備を始められました?
小学校入学の一年前ぐらい、年長の春頃から入学準備を意識し始めました。ランドセルを選ぶラン活に始まり、11月には身体測定、入学前の2月頃に小学校での説明会がありました。身体測定や説明会はもちろん学校が開いている平日の昼間。何とかやりくりして、説明会には夫婦で参加しました。
一番、大変だった準備ってありますか?
学校指定用品の準備が大変でしたね…。まず、2月の説明会の時に、学校指定用品の準備について初めて聞かされたんです。例えば、体操服、上履き、布製の手提げ袋、給食の時に机に敷くナプキンなどです。もちろん指定用品以外にも、筆記用具や定規、その他諸々を抜け漏れなく4月までに準備するというのが、意外と手間がかかったかなと思っています。他の自治体はわかりませんが、給食費納付のための指定銀行口座を開設しなければいけないというのも、銀行が開いている平日の昼間に中抜けして開設しにいったりと、普段働いている時間にやらなければならないこともありました。
他に、意識して備えたことはありますか?
ライフスタイルも変わるだろうなと、部屋のレイアウトを変更しました。3LDKのマンションで夫婦と子ども一人で住んでいて、子どもの部屋が玄関に近いところにあるのですが、子ども部屋に机を置いてしまうと、リビングまで来なくなっちゃうんじゃないか、部屋にこもって遊んじゃうんじゃないか…という心配が。なので、子ども部屋に机をおかず、宿題はリビングでやるようにと子どもに話したりして、入学後も家族で日々コミュニケーションが取れるように工夫しました。
【学童選び】学校附帯も民間も試して辿り着いた答え
悠平さんのご家庭は、夫婦ともに「正社員×フルタイム勤務」。放課後の預け先の確保も重要になってきますよね。
そうですね。我が家は、学校附帯の学童保育(=学童)にまず申し込みました。申し込みが11月頃にあって、就労証明書を会社からもらい、Webで申し込むといった手続きをしました。僕が住んでいる自治体周辺は、学童は「申し込めば、ほぼ入れる」という前情報がありました。なので、「預けられないかも…」といった不安はそんなにありませんでしたね。
民間学童にも入れようかなと思っていたので、そちらは3月ぐらいに見学に行って、正式に入会を決めたりと、いろんな方向にアンテナを張って準備を進めていましたね。
学校附帯と民間、両方を検討されていたんですね。何か理由があるんですか?
学校附帯の学童は、ちゃんとしたカリキュラムみたいなものがあるわけではありません。職員の方が一緒に遊んだり、勉強を促すというより、自分でドリルやってね、といった感じ。子どもが退屈かな…と思い始め、民間学童も並行利用してみようかなと。
家の近くに英語系の民間学童が1つあったので、見学に行き、入所を決めました。週2日は民間学童、残りの週3日学校附帯の学童というスケジュールでした。入学後もフルタイム勤務を想定していましたので、できるだけ18時~19時まで預かっていただけるところや、民間学童だったら自宅まで送り迎えしてもらえる等、僕たちが働く時間を確保できるような学童を選びました。
学童を使い分ける方法もあるんですね!
ただ、大きな環境の変化に子どもも親も戸惑う事象が発生しまして…。
民間学童が、合わなかったんです。保育園時代のお友達がいない上に、3、4年生も一緒のクラス。そういった状況で机に座って、ちゃんと英語を学ばなきゃいけないといった環境がイヤだったみたいです。
学校が終わったら、バスが迎えに来てくれるんですけど、そのバスに乗らずに家に帰ってきちゃうといった事象が発生しました。子どものフォローのために、僕も会議を抜けて説得したり…といった対応をしていました。
学童に通う曜日をお友達がいる日に変えてみたり、様々な工夫をしたものの、入所から半年で、退所することにしました。
学童選びは、子どもの性格や各家庭の経済状況にもよるし、きっと正解はありませんよね…。ちょっと苦い経験もした悠平さんが今思う、学童選びにおいて、大切なことってなんでしょう?
今となっては、こんな体験をさせたい、色々な体験をしてほしいという親の想いが強かったと反省しています。やはり合う合わないというのは、どうしても発生してしまうので、色々試してみて落ち着くところで続けられれば良いのかなと思います。もし、子ども当人が違うと思っていたら、潔く辞めるという判断も必要なのかもしれないですね。
【小1の壁とキャリア】リモートワーク、フレックスをフル活用。最も忙しい4月は業務量の調節も
小学校は保育園と違い、学校の先生は一人ひとりの子どもの様子を伝えてくれるわけではないですよね。フルタイムで働きながら、新しい環境で頑張る子どもの心のケアができるのかと心配される方も多いと思います。
そうですね。子どもから学校での出来事を聞かなければ、ケアが必要かどうかといった変化を察知しにくくなります。なので、我が家では学童からの帰り道や寝る前に「今日はどんなことがあったの?」と聞くようにしています。実は、当初は「今日はどんな嫌なことがあったの?」と聞いていました。「その嫌なことを一緒に解決していこうよ」という意図で聞いていたのですが、1日の終わりに嫌なことを思い出させるのはちょっと…とパートナーから指摘されまして(笑)それで、聞き方を変えたりしました。でも、自分から話すタイプの子ではない気がするので、話したい時に話してくれれば良いのかなぐらいに思っています。何か迷ったり嫌なことがあったら、話してくれるような空気づくりを心がけています。
話しやすい空気づくり、大切ですよね。
「小1の壁」に不安を感じ、フルタイム勤務からパートや派遣に働き方を変えたり、仕事そのものを辞めて、子育てに専念する方もいらっしゃいます。小学校入学を3ヶ月後に控え、転職をした悠平さんはどのようにしてフルタイム勤務で小1の壁を迎える準備を整えたんですか?
共働き&フルタイム勤務の我が家が何とか対応できているのは、やはりリモートワークやコアタイムなしのフレックス制度を導入している企業で働いているのが大きいかなと思います。もし「フルタイムでやっていきたい」という強い気持ちで転職するなら、一部でもリモートワークがあったり、フレックス制度がある職場を選択肢に入れると良いのではと思います。
転職のタイミングについては、年度の区切りで4月を見据えて転職活動する方も多いのですが、親も子も環境が変わるタイミングでの転職だと、予想外の出来事があった時に対応が難しくなるので、4月以前か子どもの様子が落ち着いてからが、タイミング的には良いのかも。
柔軟な働き方ができるかで、仕事と家庭の両立のしやすさはだいぶ変わりますよね。
ただ、誰もがリモートワークで仕事ができるわけではないかなと思います。出社を必要とする職種や職場で引き続き頑張っていきたいと思っているワーキングペアレンツは、どんな対策ができますかね…?
小1の壁を感じやすいのは、やっぱり4月ですよね。もし、現職で業務量の調整など相談ができるのであれば、11月あたりからあらかじめ根回しをしておくのは良いかもしれません。僕のパートナーも4月はアポをできるだけ入れないとか、業務のボリュームを減らすといった対策をしていました。
【メッセージ】我が家の最適解を対話しながら整えていこう
最後に、これから入学を控えているお子さんがいらっしゃる方へメッセージをいただけますか?
まずは、完璧にしようとしないことが大事かなと思います。何か1つちゃんとやるとすれば、連絡帳と学級だよりにしっかりと目を通すこと。まずはこれを見逃さなければ、大体カバーできます。学校によるかもしれないのですが、そこに全ての情報が集約されていることに最近気づきました(笑)
一方で、子どもの性格によって「壁」となることは変わってくるかなと思います。僕が話したことは、我が家の最適解。これを読んでいる皆さんの家庭においては、正解が違うかもしれません。ですので、『我が家はひとまずこれでいこう』といった方向性だけをふわっと決めておいて、そこから微調整を日々繰り返していく。それを1人で抱えるのではなく、できる限り、子どもも含め家族全員ワンチームで対話しながら整えていけると良いのではと思います。
小学生になると、保育園時代とは違ったコミュニケーションができるようになって、楽しいこともたくさん待っています。皆さんの日常がより充実したものになるように願っています。
小1の壁を見据えたキャリアを考えたい方は「withwork」へ
私たちワーキングペアレンツのためのハイクラス転職サービス「withwork」は、キャリアとライフをトレードオフにしたくないと願う皆さんへの転職支援を行っています。 子育て中でも家庭を犠牲にしない働き方をめざし、自分の理想のキャリアを描いていきたいユーザーさまに、withworkは徹底的に寄り添います。