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今回は、ベンチャー企業の役員として働きながら、妊活・不妊治療を経験し、現在はninpathの顧問やのF checkのアンバサダーも務める太田可奈さんのストーリーを伺いました。
仕事が趣味といえるほど大好きだった太田さんは、35歳から妊活(タイミング療法)を開始。
自然妊娠を待ちましたが授からず、不妊治療へ…。
キャリアとの両立や治療の紆余曲折について赤裸々に語っていただきました。
ーー27歳で結婚、35歳で妊活を開始されたとのことですが、不妊治療に至った経緯は?
仕事は、私にとって趣味のようなもので。
結婚してからも、ベンチャー企業の役員をしていたこともあり昼夜問わず働いていました。
夫とも子どものことは「できたらできたでいいよね」くらいに、軽い感じで話していたんです。
40代で不妊治療して授かった芸能人のニュースもみていたし、自分も大丈夫だろう、と。
30代半ばになって、そろそろ本格的に妊活を始めようとレディースクリニックに行ったんですね。
医者の指示を受けながらタイミング法を試していると、すぐに生理が止まって。「妊娠したのかも」とウキウキでクリニックに行ったのですが、妊娠反応がなかったんです。
「もしかしたらホルモンバランスが崩れているのかもしれませんね」と、検査をしたり薬を飲んだりもしたのですが、一向に妊娠する気配がなく…。
妊活開始から1年ほど経った36歳の時、「これはおかしい」と、不妊治療専門のクリニックに行ってみたんです。
そうすると、血液検査で一発で「不妊の原因」が判明しました。
生理も順調に来ていて、毎年の人間ドックでも特に異常なし。
完全に「自分に限ってそんなことはない」と思い込んでいました。
なんなら、夫側の方に問題があるのでは?と思っていたくらいです。
ーー「レディースクリニック」と「不妊治療専門クリニック」は、どのような違いがあるんですか?
レディースクリニックは、婦人科系の疾患の治療や授かったかどうかの確認といった、どちらかといえば出産寄りの話の専門家が多いんです。
妊活を始めた当初は、私も両クリニックの違いが分からなかったのと、自分たちの不妊の可能性を考えていなかったので、レディースクリニックに行ったんですね。
でも本当は、健全な男女がある一定の期間、避妊せずに月に数回性交渉をして妊娠しないとなったら、おかしいと思った方がいいんですよ。
結婚して7年も経つのに疑問を持っていないことも、今思うと不思議な感じですよね。
「知識がないって怖いことなんだな」と、改めて思いました。
ーー「不妊の原因」は、どのようなものだったんですか?
「卵子がもうないです。閉経してます」と言われました。
閉経は50代でするものと思っていたので、もう衝撃で。
いわゆる「早期閉経」ですね。
当時を振り返れば、ホットフラッシュなどの更年期障害も出ていたんです。
でも、食生活も変えて運動も始めたから、きっと代謝も上がっているんだろうとポジティブに捉えていました。
今、F checkというAMH値(=卵子の在庫数を示す値)を測るキットのアンバサダーをしているのですが、そのきっかけもここにあります。
20代でこの検査をしていたら人生が変わっていたなと思います。
ーー驚きの展開ですね。不妊治療を始めてから、仕事をする上で支障はありましたか?
実際にクリニックに通院しなければならないので、仕事の調整などやはり弊害はありますね。
不妊治療専門のクリニックってすごく混んでるんですよ。
予約しても待ちます。
今はコンセントがある個別スペースを設けたりと、働く女性に優しい取り組みをしているクリニックが増えていますが、当時はコロナ前ということもあり、まだリモートワークが主流ではなかったこともあったので、仕事のスケジュール調整は大変でした。
ーークリニックには、どのくらいのペースで通われていたんですか?
私の場合は、卵子の在庫数が少ないので、ホルモン治療を行って卵巣にある卵子を活発にさせて、育ってきた卵子を取り出すといったことをしていました。
週1ペースでクリニックに通うんですが、卵子が育ってきたら、採卵するタイミングを見極めるためにさらに細かく行かなければならない。
自分ではコントロールすることができません。
ーー仕事と両立する上で、工夫されたことはありますか?
会社のみんなに不妊治療中であることをカミングアウトしました。
包み隠さずに話して協力を得る形を取った方がいいな、と。
役員だったこともあり、自分が黙っていることによって、不妊治療をしたいメンバーがそれを口に出せない状況になるのは良くないなという想いもありました。
さらに、実名でSNSでの発信も行いました。
自分自身が診断されるまで、早発閉経の存在を知らなかったのですが、夫にも相談して、「この体験は発信した方がいいよね。
将来的に子どもを産みたいと思っている20~30代の人も知っておくべきだよね」と。
ninpathの顧問になったきっかけも、私の発信をみた知人が神田くんと引き合わせてくれたからです。
そうして、何かあった時にみんなが気にかけてくれたり、言えたりするような環境を意識的に作りました。
ーー今は不妊治療をストップしていると、お伺いしました。
もう卵子がなかったので、不妊治療をリタイアせざるをえませんでした。
不妊治療あるあるなんですが、諦めきれなくて何年もやっちゃう、宝くじを買うみたいにやってしまう、ゴールが見えないまま走り続けてしまう。
そんな方が少なくありません。
でも私の場合は「卵がない」といわれているので、もし続けるのであれば、卵巣を取り出して液につけて活性化させて、身体の中に戻してそこから無理やりガス欠状態から排卵するとった方法もあるのですが、大手術だし入院も必要。
それ以外にも、卵子はないものの子宮はあるので、「卵子提供」という方法もありました。
夫に相談すると、「そこまで身体に負担をかけてまで子どもを作らなくてもいいんじゃないか。可奈の卵子じゃなかったら、無理して産まなくてもいいんじゃないか」という意見で。
2人の意思を合わせていくのも、不妊治療だと思っています。
片方の一方的な想いが強いと、バランスが取れなくなってしまうので。
疲れて離婚される方も多くいらっしゃいます。
「生活をしてく中で、自分たちにとってないが本当に幸せか」という選択ができことが大事だと思います。
実子のことは諦めたものの、夫婦で話し合って、私たちは「スポット里親」になればいいんじゃないかという結論に至りました。
「日本のお母さんお父さんになればいいや」「それが私たちらしいね」と。
身近にいる子どもたちを預かったり、こども食堂(=孤食の解消など、おなかをすかせた子どもの居場所づくりや食事提供を行うサービス)に携わらせてもらったり、みんなで富士山に登ったり。
反抗期の子どもって、両親の話は聞かないけど、近所のおばさんとか意外と近くにいる大人の話は聞いたりするじゃないですか。
そういった子どもの相談に乗れる場所になりたいなとも思ってます。
ーー最後に、不妊治療を検討している方へ、メッセージをお願いします。
まずは、「思い込み」って怖いなと。
将来的に子どもがほしいと考えているならば、本当は結婚のタイミングで検査をした方がいいと思います。
卵子の在庫数って同じ年齢でも人によって違うし、どんどん減る一方なんですが、この事実を知っている人って少ないと思います。
学校でも、避妊については教えるけど、不妊については教えない。
仕事との両立についても、身を置いている環境にもよると思いますが、できたら本音で話せる協力者を作っておいた方が、精神的にも安定するのでいいと思います。
不妊治療をされている方って、日々様々なプレッシャーを受けているんですよね。
その1つに、周囲に隠し事をしていることをプレッシャーに感じている人も少なくありません。
精神的な負担をできるだけ減らすために、周囲の環境を自分で整えていくのは大事だと思います。
不妊治療をされている方には、本当に頑張ってほしいなと思っています。
私はもうやめてしまったので。
でも、良い選択をしたなとは思っています。
産まないというのも、1つの選択なので。
産まないという選択をしようと思っている方がいれば、別に変なことではないし、勇気をもって決断してもらえたらと思います。
今、私はこんなにハッピーなので。
いろんな不妊治療の形があると思いますが、明るく前向きに「自分にとっての幸せってなんだろう?」と問いながら選択していっていただければと思います。
仕事と不妊治療の両立に悩んだら、withworkへご相談ください
太田さんのお話にもありましたように、仕事と不妊治療の両立に悩む方は少なくありません。
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