withworkを運営するXTalentは、「男性は仕事中心、女性は家庭中心」というステレオタイプを超え、家事や育児においてフェアな分担を⽬指す「共働き3.0®️」を提唱しています。
男女問わずキャリアとライフをトレードオフにしない働き方を掲げる企業さまへのインタビュー企画として、スープストックトーキョー取締役社長の工藤萌さんが、withworkを運営するXTalent株式会社代表の上原達也、XTalent経営アドバイザーであり株式会社マクアケ共同創業者/取締役の坊垣佳奈と対談。
前編は、スープストックトーキョーが「社員が人生を豊かにするための選択をできる会社」を目指す取り組みをご紹介しました。後編となる今回は、共働き当事者であり経営者である3人がキャリアとライフをどう選択してきたのか、そしてライフイベントを迎える中、組織や事業へ抱く想いを語りました。
▲左:XTalent代表・上原、中:スープストックトーキョー取締役社長・工藤氏、右:XTalent経営アドバイザー兼マクアケ共同創業者/取締役・坊垣氏
子育てによって変化した価値観が、自分のキャリアを動かした
上原:前編では、スープストックトーキョーの取り組みをお聞かせいただきました。ここからは、工藤さんのキャリアについて教えていただけますでしょうか?
工藤:大学卒業後、資生堂のマーケター、ユーグレナの執行役員を経て、2023年8月にスープストックトーキョーに取締役として入社しました。
資生堂でグローバルのブランドマネージャーをしていた頃に、妊娠・出産を経験しました。出産を機に、自分の価値観が変わっていくことを感じたんです。それまでは自分中心の生活で、長くても5年くらいのスパンで物事を考えていましたが、子どもが生まれてからは50年後や100年後の未来を真剣に考えるようになりました。
自分の仕事を見つめ直すことになったのは、価値観の変化に気づいた頃からです。私が携わっていたマーケティングの仕事には、人の認識や行動を変える強い力があります。その力を100年後の社会に向けて使うべきだと思い、転職を決意しました。
私は資生堂が大好きで、転職する気はまったくなかったんです。ところが、ユーグレナ前CEOの永田さんと出会い、「売れれば売れるほど社会が良くなる」というテーマに共感しました。このテーマを自分のキャリアにおけるミッションにしようと思ってユーグレナにジョインし、ヘルスケア事業の責任者をしていました。その後、スープストックトーキョーへ入社し、今に至ります。
上原:子どもをもつことで、自分の成長以外のことにも関心を抱くようになるのは、当事者の声として多くありますし、私自身も共感します。坊垣さんはいかがですか?
坊垣:私も、年齢を重ねる中で価値観が変わっていきました。サイバーエージェントでもらったチャンスに全力で向き合った20代を経て、自分の人生を何のために使うのかを考え始め、30代になってマクアケを創業しました。営利企業は、投資家の期待に応えるために規模を拡大することが求められますが、その一方で、私たちは世の中にどのような価値を提供したいのかを常に大切にしたいと思ったんです。
その後、男性が代表をしている会社がワーキングペアレンツのテーマに取り組んでいることに共感して、XTalentの経営アドバイザーをしています。XTalentに参画してから、結婚と出産も経験しました。
上原:私自身は24歳で結婚し、26歳のときに子どもが生まれました。当時働いていたのはベンチャー企業。ベンチャーで何者かになりたい自分の気持ちと、家族との時間のいずれかを失わなければならないというトレードオフの感覚が、当時は大きかったですね。
その後、JapanTaxi(現・GO株式会社)を経て、自分が想いを持てる事業をやろうと思ってXTalentを創業し、ワーキングペアレンツ向けの転職支援であるwithworkを立ち上げました。
XTalentを創業してからの5年間で、時代の変化を感じています。かつては女性だけが育休を取得することが当たり前でしたが、価値観が多様になり、男性も育休を取るケースが増えています。この「フェアに共働きをする」という価値観をもっと広めたいですね。
私の子どもは今10歳で、あと10年後には社会に出ることになります。その頃までに、どのくらい社会を変えられているかをテーマに事業をしています。
「共働き経営者」として思うこと
上原:ここにいる3人は共働き当事者であり、経営者でもあります。きっと、何らかの大変さや葛藤を抱きながら日々を過ごしているのではないかと。工藤さんは、共働きと経営についてどう考えていますか?
工藤:私は、前提として大好きな仕事しかしないと決めているんです。「ワークインライフ」の考え方で、仕事も生活そのものという位置付けです。
子育ては初めてのことなので難しい点もありますが、時間の使い方については自分なりのルールを決めて、できるだけコントロールするようにしています。夫も経営者なので、この考え方には理解がありますね。
上原:私は「自分がご機嫌でいること」が大事だと思っています。前向きでいるために、家庭の中でやらないと決めていることや、逆にこだわるポイントはありますか?
工藤:慌ただしい生活になっても、お互いを責めず、自分も罪悪感を持たないようにしています。「そういう時期なんだ」と思って、過度な期待をしないようにしているんです。
坊垣:大事なことですね。相手に期待をしすぎて、その通りにならないと裏切られたと思ってしまいがちですが、期待も裏切られた気持ちも、自分が勝手に抱いていることなんですよね。
工藤:同感です。完璧ではない自分に対して「親としての責任を果たせているのだろうか」と思ってしまうこともあるのですが、それでは「共働き3.0®️」ではないんですよね。
生物学的に、人間はそもそも複数で子育てをするものだという話を聞いたことがあるんです。夫婦だけでないコミュニティの助けを借りるのは悪いことではない、と思ったら気持ちが楽になりました。
坊垣:日本の場合、時間をかけて子どもに接することが根拠もなく母親にだけのしかかっています。それがすごく当事者を苦しめていると思うんです。そのような価値観を、少しずつ変えていきたいですね。
自分が経験したライフステージの変化を、次世代に伝えていく責任
工藤:私が社長という重責にチャレンジできたのは、スープストックトーキョーだからだと思っています。実は、就任を打診された際に「第二子にチャレンジしたい」と伝えたんです。
そのとき、創業者の遠山は前向きに応援してくれましたし、前社長の松尾は「子どもができたから社長をやれないという考えはスープストックトーキョーのカルチャーにはない。僕の中にも一切ない」と言い切りました。じゃあ社長にチャレンジしよう、と素直に思えたんです。
坊垣:子育てをすることは、仕事にも生きてくると思うんです。子どもができると、自分の中に新しい価値観が付加されます。子どもたちの未来がどうなっていくといいか、子育て世代の働き方はどうあるべきかなど、視界が広がりますよね。そう考えると、仕事と子育てはトレードオフではないはずです。
工藤:そうありたいですね。私は間もなく、産休に入る予定です(インタビューは2024年7月に実施)。支えてくれる経営陣や仲間、パートナーさんへの感謝の気持ちを持ちながら、自分が経験したこのキャリアとライフステージの変化をみんなのために還元していく責任があると思っています。
上原:スープストックトーキョーには、ライフステージの変化を迎える世代の社員が多くいるということでしたね。フレックス勤務制度などの社内制度を活用しながら、ワーキングペアレンツに限らず、仕事もプライベートも充実させたい方が多いのだと想像します。経営トップである工藤さんの経験は、きっと社員の皆さんにとってプラスになると思います。
共働き3.0®️を応援する企業で働きたいと思ったら、withworkへ
私たちwithworkは、キャリアとライフをトレードオフにしたくないと願う皆さんへの転職支援を行っています。
子育て中でも家庭を犠牲にしない働き方をめざし、自分の理想のキャリアを描いていきたいユーザーさまに、withworkは徹底的に寄り添います。