2024.12.23

「妻の機嫌が悪く、スキンシップを拒否される」解決のヒントは、トリセツ・信頼・タブー化しない

#パートナーシップ
#夫婦円満
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こんにちは!ワーキングペアレンツのための転職サービス『withwork』です。
日々、キャラトラのリスナーさんから寄せられる、パートナーとのコミュニケーションに関する様々な悩み。
その解決のためのヒントを、『株式会社すきだよ代表のあつたゆかさんに伺ったので、全3回にわたりお届けしていきます!

・前編:3分に1組が離婚?!夫婦間の関係悪化を予防するアプリ「ふたり会議」に込められた想い
・中編:悩み相談①「妻の機嫌が悪い」「スキンシップを拒否される」→★本記事
・後編:近日公開予定

<スピーカープロフィール>

悩み相談「産後、常に妻の機嫌が悪い。スキンシップも拒否される。」

金城:
キャラトラのリスナーさんからいただいたご相談になります。女性のパートナーがいる男性からのお悩みです。「子どもが生まれてから妻が冷たくなり、常に機嫌が悪い。スキンシップも拒否され、夜もすぐ寝てしまうので寂しい…。」というお声をいただいています。 

あつた:
なるほど…。ちなみに、金城さんはワーキングペアレンツとして共感するところはありますか?

金城:
子どもが1人いるんですが、生まれてから2歳ぐらいまでずっと夜泣きをしていて寝不足で。思わず夫に対して殺意が湧いてしまうなんてこともありましたね。

あつた:
どういう時にそういった感情が出てきていましたか?

金城:
そうですね…。私は夜間授乳などで寝ずに子どもの面倒を見ているのに、夫だけ楽をしているんじゃないかと感じた時でしょうか…。今は違うと分かるんですが、当時は寝不足や育児疲れから、どうしてもそういった思考になっていましたね。

あつた:
金城さんはお子さんがまだ小さかった頃にそういった感情をお持ちだったんですね。今回ご相談をくださった方と奥様の間にも、今のお悩みにつながる背景がいろいろあると思うのですが、一旦いただいたお悩みを分解してみていきましょう。

1つ目は「妻の機嫌が悪い」という問題。2つ目は「スキンシップを拒否されている」という問題です。それぞれ一緒に考えていきましょう。

機嫌が悪いのは、気持ち&体力的に余裕がないからかも?

あつた:
まず「妻の機嫌が悪い」という問題について。金城さんは、なぜ機嫌が悪いと思いますか?

金城:
子どもが生まれると気持ちの余裕がなくなるので、夫の相手まで気が回らないとか、あとは体力的にも疲れているので機嫌が悪くなってしまう…とかでしょうか。

あつた:
私も金城さんのおっしゃる通り「気持ちの余裕がなくなる」とか「体力的に疲れている」といったことが原因で、常に機嫌が悪くなってしまうのかなと思います。ただ、理由はどうあれ「パートナーの機嫌が悪い時にどうするか」というのは、 産後じゃなくても、男女の立場が逆でも、夫婦にとって大事なテーマですよね。

解決方法として、同じ悩みを持つ方が実践している方法をいくつか紹介してみますね。

例えば、「あらかじめ自分が機嫌が悪くなってしまう理由をパートナーに伝えている」という方法。「今、私は産後のガルガル期でホルモンバランスが崩れやすい時期なの。そのせいで、機嫌が悪くなることもあるんだけど、あなたのことは嫌いじゃないから大丈夫だよ」といったように、相手にも分かりやすいように自分の状況を伝える方法です。

また、素直に相手に質問する方法もあります。例えば、男性側から「ちょっと機嫌が悪いような気がするんだけど、何をしてもらったら嬉しい?」といった感じですね。相手の気持ちを聞いた上で話し合いをする方法です。

金城:
なるほど。でもその「私ガルガル期だから、ちょっと機嫌が悪くなっちゃうと思う」って、自分の状況を伝える方法は、ちゃんと自分自身のことを分かっていないと伝えるのが難しいですよね。

あつた:
そうですね。コミュニケーション面の工夫だと「事前予告があるかないか」って結構重要だと思いませんか?

例えば生理の前とかですね。それが原因でメンタルがすごく落ち込んでしまう方であれば、「来週生理がくるんだけど、もしかしたらそれで不機嫌な日があるかもしれない。だけどそれは生理のせいだから、あなたに対して何か怒っているとかじゃないから安心してね。」といった感じですね。

金城:
なるほど。やっぱり自己開示がコミュニケーションの前提にあるんですね。

ポイントは、互いが「自分のトリセツ」を理解し共有すること

あつた:
そうですね。でも、今回お便りをくださった方の場合、すでにパートナー側に余裕がなくなっていて、体力的にも疲れている可能性も考えられますよね。逆にそういう時に金城さんだったら、どうしてもらえたら嬉しいですか?パートナーからしてほしいのはどんなことでしょうか?

金城:
んー…。「優しくしてほしい」とかでしょうか。

あつた:
気持ちに余裕がない時ほど、相手の優しさを感じると嬉しいものですよね。もちろん、人によって「やってほしいこと」は違うと思うんです。例えば、「いつも育児をしてくれてありがとう」という感謝の言葉を言ってもらえたらハッピーという方もいらっしゃいますし 、「自分が子どもを見ているから気分転換に美容院とか行っておいで」というように、物理的に時間を作ってくれると嬉しいという方もいらっしゃいますね。あとは、ケーキなどの差し入れをしてくれるとか、子どものことや今日の出来事など、ちゃんと話を聞いてくれるとかもあるかもしれません。

例に上げたものが全てではありませんが「女性がしてもらって嬉しいこと」って、もしかしたら男性が思っているよりも複雑ではないのかもしれません。些細なことでも相手をハッピーにできたりするんですよね。

それを踏まえた上で、もし男性側にアドバイスをするとしたら、「自分は夫婦で協力して、あなたと仲良く、ハッピーに暮らしていきたいと思っているよ。でも、今のあなたは、すごく疲れてる気がしてとても心配なんだ。具体的には、〇〇をしたいと思っているんだけど、どう?」とか「もっと他にしてほしいことはある?」というように声をかけてみる。あるいは、「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみる。

そういったことを言われたら、金城さんはどう感じますか?

金城:
嬉しいです。

あつた:
「あ、自分のことを見ていてくれたんだ」「分かってくれたんだ」という気持ちになりますよね。

金城:
一番大切なのは、お互いが自分自身のことをちゃんと理解して、いわゆる「自分のトリセツ」みたいなものを、事前でも、喧嘩の最中でも、ちゃんと相手に伝えることなんですね。

あつた:
それこそ産後うつなどになってしまったら、その最中に伝えるのはすごく難しいと思うんです。だから、ちょっとでも余裕がある時に、例えば、「私は寝不足になるとすごく機嫌悪くなる→私にとって睡眠はとても重要なんだ」ということを理解しておく。そうすると、「ここ最近夜泣きが続いていて寝不足になりそうだ」と感じた時に、パートナーに相談できたりしますよね。

あとは、機嫌が悪くなった時に、「私はとにかく甘いものが食べたくなる」とか「私は話をたくさん聞いてほしい」とか、そういう「自分のトリセツ」のようなものを持っておくと、パートナーにリクエストを出しやすくなりますね。

金城:
そういうのって、友人とかちょっと遠い関係の人とのコミュニケーションでは、「自分の扱い方や特性をちゃんと伝えて接し合う」って、当たり前にできている気がしますが、夫婦になると「察してほしい」という気持ちが出てきてしまいますよね。

あつた:
出てきちゃいますよね。「毎日一緒に暮らしていて、こんなに近くにいるんだから分かってよ!」って思ってしまうんですけど、でも分かってほしいこと、やってほしいことって状況によって変わりませんか?

それこそ、出産前は話を聞いてくれるだけで良かったけど、出産後は忙しすぎて「話を聞いてくれるのも嬉しいけど、今はとにかく一緒に家事育児をやってほしい」というように、相手に求めるものが変わってしまう場合もあるじゃないですか。だから、「今、自分は何を求めている」とか「今、自分の余裕は30%しかなくて、もうすぐ赤信号です」とか。そういう自分のコンディションをお互いに共有できると、とても強い夫婦関係になれると思います。

金城:
お話を聞いていて私もそう思いました。やっぱり夫婦だと、「阿吽の呼吸で、頼まなくてもなんでもやってくれるはずだ」とか、ちょっと傲慢な気持ちになることってどうしてもあると思うんです。

そういう傲慢な気持ちをもったまま子育てを始めてしまうと、余計に相手に対して「どうして分かってくれないの」という気持ちが出てきてしまってコミュニケーションが上手く取れなくなると思うんですよね。そして、だんだんとすれ違いが多くなってしまう未来が想像できます。とくに、育児にまだ慣れていない第1子の時は苦労しそうですよね。

そう考えると、お子さんが生まれる前、夫婦の間に少しでも余裕がある時に、修羅場を乗り越える経験をしたり、お互いの気持やコンディションを伝え合う練習ができると良いですね。

あつた:
「今の私には余裕がない」という時に、お互いが素直に「助けて」と言い合える関係だと良いですよね。

夫婦間でセックスの話を「タブー化しない」

あつた:
2つ目の「スキンシップを拒否されている」というお悩みについても考えていきましょう。

産後にセックスレスになるという声は、多くの方から聞かれます。また、夫婦間のすれ違いも起きやすくなりますね。どちらかは性欲が高いんだけど、どちらかが低いというケースも少なくありません。セックスの話にふれない方というのは多くて、肌感ですが、夫婦間であってもおよそ8割以上がセックスの話をしていないと感じています。

セックスに対する考え方や感じ方もずっと同じではなく、時間とともに変わっていきます。例えば、結婚したての20代の時のセックスと、30代で出産後のセックスとでは、人によって感じ方が変わると思うんです。産後でまだ体力が回復していなかったり傷が痛んだりすることもありますよね。また、子どものことで忙しくてそれどころじゃないとか。

理由は人それぞれですけど、「セックスに前向きになれない」という人もいれば、逆に産後でも性欲があって「積極的にスキンシップをとりたい」という人もいます。性欲も年齢やライフステージに応じて変わっていくものです。だからこそ、セックスに関しても「今、私はセックスに関してこういうモチベーションでいます」と、意思表示することが大切ですね。

具体的には「以前は性欲が70点くらいだったけど、今30点くらいで、今の私の優先順位は、セックスよりも睡眠時間の方が上です 」というように自分のスタンスを伝えた上で、「だから、あなたの誘いを断ることがあるかもしれないけれど、それはあなたのことが嫌いになったわけではなく、単に私の中の優先順位が変わっただけなんです」と伝える。ちょっと理想論かもしれませんが、こういうオープンな話し合いができるととても良いですね。

金城:
セックスの話って、なんとなくタブーな感じがしますものね。

あつた:
「話しづらい」と感じる気持ちもあると思うんですけど、タブーな話にしてしまうのは、お互いにとって良くないなと思います。

金城:
これは純粋な興味からの質問なんですが、セックスの話をタブーだと感じるのは、日本特有なのでしょうか?他の国では違うものですか?

あつた:
海外と比べると日本の方がタブー視されやすい傾向はあります。ただ、「話しにくい」と感じるのは、おそらく海外でも一緒だと思います。

金城:
やっぱり「いかにセックスについてお互いにオープンに話してくか」が問題解決の鍵なんですね。

大切なのは、日々の「信頼」の積み重ね

あつた:
ここまでは女性寄りな意見をお話してきましたが、今回の相談者さんのような男性側も、ライフステージの変化に伴って優先度が変わっている可能性がありますよね。お子さんが誕生したという大きなライフイベントがあって、時間の使い方やモチベーション、仕事に対する姿勢やセックスに対する考え方にも変化が絶対にあると思うんです。

ですから、「パートナーにスキンシップを拒否されていて悲しい」という気持ちはとても良く分かりますが、その事実だけが全てではないと考え直してみてほしいんです。「“もしかしたら”相手は今忙しくて疲れてるのかもしれない」とか「“もしかしたら”相手は今それどころじゃないくらい体調が優れないのかもしれない」といったように、「相手に拒否された」という事実だけをみて「してくれない、ひどい!」と考えるのではなく、相手の立場でいろんな「もしかして」を想像してみてください

セックスはお互いの合意があって初めて成立するものです。「結婚しているから」とか「付き合っているから」というスタンスではなく、相手がどんな理由で「できない」と言っているのか想像することが大切です。相手のことをよく観察したり、直接聞いてみたりするのも良いですね。まずはそういったコミュニケーションを取ってもらえたらと思います。

これは、あるあるな事例なんですが、例えば夫が家事をしない家庭だと、妻側は「普段家事とか全然しないのに、体だけは求めてくるんだ。だったらちょっと拒否してやろう」みたいなケースを、悩み相談でよく聞くんです。

セックスに限らず、なんでもそうですけど「普段から相手に対して信頼がある」というのが関係性の土台にあります。そういう信頼関係があって初めて「したいな」と思える行為は沢山あると思うんですね。

なので、普段から「ありがとう」とか「ごめんね」という言葉をちゃんと伝えるとか、家事育児をちゃんと協力してできているという状態をつくることで、お互いへの信頼を蓄積していくことが何よりも大切です。そういう気持ちがあると、自分がちょっと疲れていても「でも、相手も自分のために〇〇してくれたから、自分もやろうかな」という気持ちも自然とわいてきますよね。それと同じで、関係性の土台がしっかりとできていれば「セックスしよう」という時に前向きな気持ちにもなりやすいのではないでしょうか。

これはセックスレスだけの問題ではなく、例えば、転職の相談をパートナーにする時も同じです。「パートナーに反対された」という事実だけに注目しがちですが、実は日頃からの声掛けや、お互いに協力し合う姿勢の積み重ねがあって、ようやく本題にいけるんだと思います。

金城:
やはり全ての基盤はコミュニケーションなんですね。まずは自分自身を理解した上で、「自分はこうゆう考えや気持ちでいるよ」とちゃんと相手に伝えて、対話することが大切ですね。

あつた:
そうですね。相手を労ったり、してもらったことにちゃんと「ありがとう」と言ったり。

もちろん人間ですから、不機嫌な時もあると思うんです。それはしょうがないんですが、 不機嫌になった後に「ごめんね、あの時私こうだった」とか「俺、ちょっとイライラして当たっちゃってごめんね」とか、リカバリーのコミュニケーションを取ることも大切ですね。

それができていれば、意地悪な気持ちで「〇〇したくない」とか「〇〇するのはやめよう」って思うことはないと思います。

金城:
パートナーと良い関係を築くためには、まずは相手を思いやる気持ちや感謝を言葉にして伝えるといった基本的なコミュニケーションに目を向けていただくことが大切ですね。

あつた:
そうですね。加えて、自己理解をしてそれをちゃんと相手に伝えること。その上でお互いをケアし合うことですね。 口にするととても簡単に聞こえちゃうんですけど、これを常日頃、何十年もやり続けるというのは、思っているよりもとっても難しいことなんですよね。

金城:
たしかに。でもきっと皆さん仕事仲間や友人には自然とやっていることなんでしょうけどね。

あつた:
相手が家族になると急にね、難易度が上がりますよね。

金城:
家族以外には、みなさんできてるはずなので、それを夫婦間や家族間でも実践してみると、意外と簡単に気持ちが楽になるかもしれないですね。

あつたさん、ありがとうございました。
次回も、パートナーとのコミュニケーションに関するお悩みに答えていきます!

・前編:3分に1組が離婚?!夫婦間の関係悪化を予防するアプリ「ふたり会議」に込められた想い
・後編:近日公開予定

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